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リアムの部屋のリビングは先週末に寝込んでしまった理由が再確認出来るほど居心地が良くて、借りたグレーのバスローブの長過ぎる袖をひらひらとさせながらソファに腰をおろし、麻のカバーが掛かっている大きめのクッションを抱き寄せて膝を抱える。
ソファの下には帰りの道中でドラッグストアに寄り道をしてもらって購入したものがあったが、リアムにサイズを確認した時、慶一朗も使った事のあるブランドの最大のものをと言われて絶句したのだ。
それを無造作に突っ込んである紙袋を見下ろし濡れたままの前髪をかきあげた慶一朗は、キッチンの壁の向こうから愛嬌のある顔がひょっこりと現れてビールを飲むかと問いかけてきた為、素直に頷いて先に礼を言う。
慶一朗より先に出ていたはずのリアムがキッチンで何をしていたのかは不明だが、ビールのボトルを両手に戻ってきたかと思うと、膝を抱えてソファで座る慶一朗に何とも言えない溜息をひとつ零す。
「どうした?」
「……バスローブ、大きすぎたな」
「そうか?」
お前のものだから大きくて当たり前だけど着心地が良いと笑って袖を折った慶一朗は、差し出されるボトルを受け取って口を付け、風呂上がりの乾いた喉を潤す。
「……美味いな」
「そうだな」
市内のパブでそれなりに飲んで食べたはずだがやはり自宅で飲むのも美味いと笑う慶一朗に釣られてリアムも笑みを浮かべるが、慶一朗の横ではなくその前の床にクッションを置いて腰を下ろし、ソファの座面に腕を突いて顎を支える。
「リアム?」
「ん?」
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