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もうお前もわかっているように、俺が自分から好きになったのはお前が初めてだ、それも無理強いされた訳ではないと、リアムが一生覚えていたいと強く願ってしまう笑みを浮かべて囁くと、背中が痛みを訴えるほど強く抱きしめられる。
「苦しいぞ、リアム」
お前が全力を出せばどうなるかを昨日の夜に嫌という程味わった、だから少し力を緩めてくれと苦笑する慶一朗にリアムが力を緩めると、さっきキスをした額に額を重ねて小さな笑みで口元を彩る。
「ダンケ、リアム……Mein Prinz.」
俺の王子様とリアムを呼んだ慶一朗は、驚いた後に顔をくしゃくしゃにする恋人の頬にキスをし、昨日のあの自信に満ちた顔はどうした、イケメンマッチョと悪戯っ気のこもった声で笑いかける。
「……お前が悪いんだ、Mein Schatz!」
指摘された羞恥から顔を赤らめつつも俺の宝物と呼ばれた慶一朗は、ドラマや映画などで見聞きしていたその言葉をまさか己が言われるようになるとはと感慨深い思いを抱き言われて悪くないと気付くが、さっきの皇帝陛下の方が良いと笑いながら己が王子様と呼んだリアムを胸に取り込むように抱きしめる。
「……もう、大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫だ」
胸にぶつけられる声に陰りはなく安堵のため息を無意識に落とした慶一朗は、そろそろ本格的に腹が減ってきた、何か食べさせてくれとその耳に囁きかける。
「ああ、そうだな」
「美味いものを食わせてくれたら食後のコーヒーを淹れてやる」
「そうか……これから毎日お前の淹れてくれるコーヒーが飲めるのか」
あの美味いコーヒーを毎日飲めるなんて最高だと笑うリアムに慶一朗もそこまで手放しで褒めてくれるのは嬉しいと素直に笑い、再度頬にキスをすると立ち上がる。
そして自然な動作で互いの腰に腕を回すと、ランチに何を食べたい、お前が作るものは何でも美味いだろうから楽しみにしてると心の在処が一つ互いに理解できた安心感から自然と声を弾ませながらキッチンに向かうのだった。
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