Dance with me. - every day, every night –

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※R18表現あり  慣れてきたとはいえやはりリアムのものを受け入れる瞬間は息が詰まり、シーツをきつく握りしめてしまった慶一朗は、馴染むまで無理に動かないと教える様にキスを繰り返すリアムを見上げ、自分でも意味が分からない息を一つ吐いた後、広い背中に両手を回し、遥かな昔に人類が失った翼が生えていたとされる骨が抱きしめる形になっていることに気付き、広げた手で骨の形を確かめる様に撫でる。  専門は違っても人体の作りは当然勉強している為、肩胛骨が体幹の要であることも理解していたが、普段は非現実的だのロマンチストだなと嘲笑する様なことを考えてしまい、この、老若男女誰に対しても親切で誠実なマッチョマンの背中には本当に翼が生えていたのではないかとも想像し、その姿を見て見たかったと思いつつ肩胛骨をそっと撫でる。  「気に入ったのか?」  「・・・生まれた時に生えていた翼をどこに落としてきたんだ?」  せっかく生えていた翼なのにもったいないと、心底残念そうに呟く慶一朗の言葉の意味を一瞬理解できなかったリアムは、何だってとドイツ語で問いかけながら端正な顔を見下ろせば、己が呟いた言葉の意味に気づいた慶一朗の顔が快感以外の理由から赤くなる。  「────っ!!」  今日の慶一朗は本当に嬉しい言葉ばかりを告白してくれる、本当にどうしたと嬉しさが過ぎると不安になると苦笑するリアムの言葉に、今の言葉は忘れろ、今すぐ忘れろと慶一朗が慌てふためきながら訂正だと叫ぶが、せっかくのお前の言葉なのに忘れるなんて嫌だと、流石にその言葉には従えないと反旗を翻したリアムは、頭を擡げる慶一朗の腰をぐっと掴んで引き寄せ、不意に突き上げられた衝撃に今度は枕に頭を押し付ける。  「あ・・・・・・んん・・・っ!」  不意打ちは無しだと、目尻だけではなく顔中を赤くした慶一朗が不満を快感の声の間に混ぜ込むが、忘れろなんて言うからだとリアムが反論し更に腰をぶつければ、頭だけではなくリアムが支える腰を支点にしたように背中が撓み、リアムの背中から離れた両手がシーツをきつく握りしめる。  「リ、アム・・・・・・っ!!」  荒い息の下で恋人の名を呼んだ慶一朗は、どうしたと言う代わりに見下ろされて息を飲むが、ヘイゼルの双眸に浮かぶ欲情と本能的なものとそれでも隠しきれない情を読み取り、シーツを握りしめていた手を離して再度広い背中へと両手を回す。  「・・・っ、ん、・・・は、ァ・・・」  しがみつくように身体を寄せる慶一朗がリアムの耳元で熱の篭った息を吐き、それに無意識にリアムが煽られたように腰を引き寄せ突き上げると、慶一朗の端正な顔が快感に染まり始める。  気持ち良さを隠すことすら出来なくなった慶一朗だった為、リアムにしがみつくように背中を抱きしめ、強い快感には無意識に爪を立ててしまうようで、朝になってリアムの背中を見て少し後悔してしまうのだ。  だが、抱き合っている最中はそんなことまで考えられず、ただその快感に振り落とされないようにしがみつき、堪えられない熱の篭った声を上げ続けてしまう。  喉が渇きを覚えるほどひっきりなしに上げる声にリアムが動きを早め、更に声が大きくなるが、ここまで快感に染まる声を聞かせてしまうことも珍しかったが、今夜はそれを恥ずかしいと感じる余裕がなく、ただただ強い快感に堪えられない声を上げてしまうのだった。  そして、脳味噌が焼きつきそうな快感の絶頂で白熱した瞬間を迎えた慶一朗は、しがみついていた背中から力の入らない手を滑り落とし、肩で息を整える。  「・・・悪い、ケイ」  敏感になっているだろうが、今日は中でイキたいと余裕のない声で囁かれ、気にするなと伝える代わりに広い背中に己がつけた傷をそっと撫でる。  「・・・イイ」  「うん・・・ダンケ、ケイ」  リアムの切羽詰まったような声に頷いてもう一度広い背中を撫でた慶一朗は、お前なら構わないと囁き、程なくして中に感じる熱を予想し、ふるりと背筋を震わせるのだった。
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