Dance with me. - every day, every night –

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 熱を吐き出した気怠い心地よさを感じつつ、背中から腕を回して抱きしめてくる恋人の腕をつるりとなでた慶一朗は、どうしたと覗き込まれたことに気付き、後始末までさせてしまったと耳まで真っ赤になりながら礼を言うと、言葉ではなくキスが頬に返される。  弛緩しきって何もできない状態−こんな状態もリアムと付き合いだしてから経験したことだった−でベッドに横臥していた慶一朗に一言断りを入れた後、リアムが後始末をしてくれたのだ。  そこまでさせたのもリアムが初めてだった為、どうしてそこまでしてくれるんだと素朴な疑問を口にすると、肩を掴まれて強制的に寝返りを打たされ、至近距離にある惚れてやまない双眸に見つめられて息が止まりそうになる。  「うん。好き、だからだな」  「・・・・・・恥ずかしいな」  「そうか?お前以外に聞かせるつもりはないから・・・」  お前だけだから多少恥ずかしくても言わせてくれと笑われ、その屈託のない笑顔に何も言えなくなった慶一朗は、今日の午後とついさっきリビングで踊ったことを思い出し、さっきまで人の快感を好き放題煽っていた大きな手を掴んで顔の前に持ってくると、訝るリアムの前で手の甲に小さな音を立ててキスをする。  「ケイ・・・?」  「病院でダンスしていた時にも言ったけど・・・」  俺はもうこの手を離すつもりはない、だからお前も離さないで欲しい、これから毎日、さっきのように踊る楽しさを感じつつ一緒にいたいと、羞恥から尻すぼみになりながらも精一杯告白した慶一朗は、同じように手の甲にキスをされ、背中に回った手で抱きしめられて分厚い胸板に頬を当てる。  「うん。離さないし一緒にいるから安心しろ」  「・・・・・・お前の言葉には金の重みがあるな」  嘘など言わないお前の言葉は素直に信じられると、不意に訪れた睡魔に負けそうになっている声で囁いた慶一朗は、分厚い胸板を通して聞こえてくる鼓動が遥か昔に経験したものと似ていると気付くが、それが何であるのかを思い出す前に眠りに落ちてしまう。  「ケイ・・・?」  不意に己の顎の下から穏やかな寝息が聞こえてきたことに気付いて名を呼んだリアムは、返事がないことに小さく欠伸をし、己にも睡魔の誘いがあったことに気づいてもう一度欠伸をして一足先に眠ってしまった恋人を守るように抱きしめ、こめかみにキスをして目を閉じるのだった。  病院で仲が良いと言われていた二人だったが、この日を境に子供たちからも楽しそうに踊っていた仲の良いドクター達と好意的に揶揄われるようになってしまい、踊るほど仲が良いし一緒に踊っていると楽しいんだとリアムなどは答えてしまい、流石にそれには慶一朗が呆れたように肩を竦めてしまうのだった。
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