18.最上級の愛されオメガ

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18.最上級の愛されオメガ

 礼央は俺を抱き上げてベッドにそっと寝かせると優しく身体を包むように手のひらで触れてきた。そうやって柔らかく撫でられるだけで痺れるような快感が走る。 「美耶さん、体の力を抜いてリラックスしてね」 「うん……あっ」 ――うそ……。ただ脇腹をなぞられているだけなのになんでこんなに気持ちいいの? 「あぅっ……ん……」  そのまま礼央の手が洋服の下から滑り込み、お腹を這い登って胸の先端に触れた。 「あっ、だめ……っ」  指先で軽く左右に擦られたかと思うとキュッと摘まれて甲高い声を上げてしまう。 ――どうしよう……気持ちいい……。  礼央は俺のフェロモンを吸い込むように首筋に顔を埋めた。「いい匂い」と言って更に手で身体全体を愛撫する。  俺は蕩けそうになっている頭で、何も考えずにただ快感を追った。この時点ですでに後孔からは蜜が溢れていた。甘いキスと上半身の愛撫に、たまらず俺はもじもじと太腿をこすり合わせてしまう。 「ん……礼央、下も触って……」 「怖くない? 大丈夫?」 「大丈夫。だからもっと……」  俺のねだる言葉に従って礼央は乳首をいじっていた手を下半身に移動させた。ボトムスの上からスリスリと形をなぞられる。そこはすでに硬くなっており、触られると恥ずかしいのに痺れそうなくらい気持ちよかった。 「あんっ、あ……いい。礼央、礼央……」 「気持ちいいんだね? 可愛い、美耶さん」  俺が頷くのを見て、礼央はボトムスを脱がせた。そして下着の上からさっきより強めにペニスを擦られる。 「痛くない? 怖くない?」  俺はまたうんうんと頷いた。すごく気持ちいい。 「ん……っ、ふ……」  手の甲を歯で噛んで声を殺す。 「美耶さん、もっと声聞かせて下さい」 「ふぁ……はぁ……でも、桐谷は声が耳障りって――」 「僕は聞きたいから。お願い聞かせて」  礼央に手を口から外されて、ベッドにぎゅっと縫い付けられた。口の中を舌で嬲られ、礼央の股間を俺の下腹部に擦り付けられる。ゆっくり腰を使って自分の欲望を押し付けてくる礼央――。俺は以前入院中に見た礼央の裸体を思い出した。厚い胸板に、割れた腹筋――これからその彼に抱かれるのだと思うと期待でくらくらした。発情しているせいなのか、恐怖は全く感じなかった。 「ああっ、礼央……もう無理……早く欲しい」 「待てないんだ? なんて可愛いの。最高だよ美耶さん。すごくいやらしくて可愛い。匂いもすごい」  礼央がまた俺の首筋の匂いをかぎながら、濡れてしまった俺の下着を剥いだ。そして手を俺の脚の間に入れ、奥の窄まりに指を侵入させた。そこはもうとろとろに溶けており、礼央の指を難なく飲み込んだ。 「すごい。すぐに二本も入った。ぬるぬるだよ……。期待して濡れちゃってるんだね。俺のが欲しい?」 「欲しい……礼央の欲しい……」  礼央の優しい声に促され、恥ずかしいことを口にしてしまう。 「ああ、すぐに根本まで入れてあげたい。でももう少し慣らしてからにしようね」    ぐちゅ、と湿った音を立てて指を抜き差しされる。音も感触も卑猥で情欲を掻き立てられる。礼央の指が気持ちいい場所に触れる度、俺はビクっと身体を痙攣させて喘ぎ声を上げた。 「あっ! れおぉ……もう無理、我慢できない。礼央の入れて、それもうちょうだい」  礼央がやたら丁寧に慣らすので俺はとてつもなくはしたないことを口にしてしまった。これまで桐谷にはこんなに丁寧に前戯をされたことがない。ちょっと指で穴をならされたらすぐ入れられていたので、こんなに頭がおかしくなるほど男性器をほしいと思った経験がない。もう、自分がどんな状態かもよくわからなくなってきた。 「わかった、挿れるね。ちょっと腰上げて」  言われたことにだけは反射的に従う。すると礼央の下腹部がぴったりと俺のそこに押し付けられ、願っていたモノがようやく中に入り込んできた。 「ああっ! ん……! 入ってくる。あぁ……あん……っ、すごい……」 ――何これ……? 礼央の気持ちいい――。すご、太いし長い……! こんな奥まで入られたことない。俺の奥の奥まで届いて……。 「あっ、あっ……いい……」 「ああ……美耶さんの中すごく気持ちいい。なんだこれ、ぅう、やば。すぐイキそう」  ゆっくりと優しく腰を動かして揺すられているだけなのにとてつもなく気持ちよかった。 ――礼央も感じてくれてるの嬉しい……礼央の汗の匂い好き……好き……。 「礼央好き……」 「え! 何それ反則……! ぅうっ」 「んっ! あ、出てる……中で出て……あっ、あぁっ……ん……熱い…」  アルファの精液が中に出されること自体、ヒート中のオメガには快感になる。俺は精を注ぎ込まれて恍惚となった。しかし礼央は焦っていた。 「ご、ごめん! 嘘だろ、美耶さんに好きって言われて嬉しすぎて……ごめん」 「あ……っ、良いから、もっとして……」  俺は無意識に礼央の筋肉質な下半身をふくらはぎでギュッと締め付けた。すると中でまた礼央のものが大きくなった。そのまま抜かずに再開する。  今度は俺がもうやめてと言うまで激しく責め立てられ、何度も絶頂に達した。勿論礼央も中でたくさん出してくれた。 ――これで妊娠できる身体ならな……。  ヒート中だからか、子どもが欲しいって気持ちがすごく強くて「礼央の赤ちゃんほしい」なんて言いながらイッてしまったのが恥ずかしい。これはもう、オメガの本能だから許してほしい。 ◇  そこから約一週間のヒート中、時間の許す限り礼央は俺とベッドにいてくれた。なるべくリモートでの仕事に切り替えてくれているらしく、家に居てくれることが多かった。  どうしても現地に出向かなければならない仕事があって礼央が不在の日は寂しくて、泣きながら礼央の服に包まれ自分を慰めた。  ヒート中の週末、礼央に頼んでアルファの抑制剤無しの状態で一度だけセックスしてもらった。そしたら礼央はアルファの本能むき出しになってしまい、いつもの優しい雰囲気はどこに行ったのってくらい強引になった。 「腰もっと振って」とか、「噛まれたいんだよね? 強請ってみてよ」なんて意地悪を言われて俺はすごくゾクゾクして感じてしまった。 ――もしかして俺って実はいじめられたい願望があるのかな?  一週間抱かれ続けて、俺はずっと前から礼央の恋人だったみたいな不思議な感覚に囚われた。桐谷の、義務で抱いてやってるというただ出し入れするやり方とは全然違った。  全身撫でられ、舐められて、丁寧に扱ってもらって最高に気持ち良くしてもらえた。愛してるって言われながら二人で抱き合うのがこんなに気持ちいいとは知らなかった――。  俺は暴行された恐怖を思い出すことなくセックスできたことに安堵した。  だけど、ヒートが終わった後に礼央に求められたときは上手く出来なかった。  キスや体を触られるのは大丈夫だったのに、中に入れられて揺すられると怖くなってしまった。途中で俺が泣き出してしまったのに礼央が気付いてやめてくれた。  我慢しようとしてたことを「何で怖いって言ってくれないの?」と優しくたしなめられた。何でも我慢するのが癖になってて、こういう時どうして良いかわからないだけなんだ――。  セックスに関してはヒートのときは理性が飛んで、熱と興奮を治めたい気持ちが恐怖を上回るようだ。礼央には申し訳ないと思って謝ったけど、俺が精神的にちゃんと回復するまで待つから気にしないでと言ってくれた。  礼央は優しい。何をしても怒らないし、俺が困っていると必ず助けてくれる。何もかも失った俺を拾ってくれたのが礼央みたいな人で本当に良かった。
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