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1.ひいぃぃっ!!
今日の仕事もハードだった。
有難い事に、職場の人間関係は良好。
しかし、とにかく仕事量が多い!
いつも終わった頃には、頭がクラクラして大きな溜息が出る。
一日の約三分の一を占める仕事の時間。
もし上司や同僚に嫌な奴が一人でも居れば、辛いだろうから…
幸せだと思わないといけないか…。
しかし疲れた。
こんな時は、早く帰って “ あいつ ” に癒やして貰おう。
休日に買った食材が冷蔵庫に入ってるから、夕飯はそれで何か作ればいいか…
正直、買い物に寄る元気もないし…。
真っ直ぐ帰って来れたので、まだ外は明るい。
夏が近付いて来て、随分日が長くなったな…
私は車を車庫に入れて降りると、ドアをロックした。
ふと目にした光景に、私は思わず立ち止まる。
「…?何?…こ…れ……」
玄関アプローチから、ドアの前まで、血が滴り落ちた跡が点々と続いている…。
立ち竦んだまま、その跡を凝視した私は、恐る恐る玄関に向かった。
鍵を手にしたまま考える。
家の中で一体何が?!
安易にドアを開けて大丈夫なの?
今日の昼間、家に居たのは、同居している母と、体育祭の振り替えで学校が代休の娘だ。
二人に何か…?!
それなら躊躇してる場合じゃない!
私はできるだけ音を立てないように鍵を開けて、中を窺いながらゆっくりドアを開けた。
静かだ…
玄関の三和土を見て、私は更にギョッとする。
外に落ちていたものより明らかに多い血の跡が、あちこちに着いている。
患部を拭った物だろうか…
大量のティッシュなのか、タオルか…
色が染まり丸まって何か分からない物まで落ちている。
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