ストーキングクラブ

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 金回りが良くなるに連れ、生活も次第に派手になった。友人を連れて豪遊したり、女性にねだられるまま贈り物を渡したり。だが、金を目当てに寄ってくる彼らが次第に煙たくなり、距離を置くようになっていく。  それは、身内も同様だった。実家の修繕が必要だの、遠い親戚が金に困っているだのと言って、金を無心してくる。収入は十分得ていたので、払ってやるのは構わなかったが、出して貰うのが当たり前という態度が目につくようになると、嫌気も差してきた。  ホテルに住まいを移し、電話番号を変えて連絡を断つと、気が楽になった。これまで僕の助けなしでもやって来られたのだから、そもそも助けなど要らないはずだ。こちらの苦労も知らず、うまい汁だけ吸おうと考えるなんて厚かましい。何よりも、僕の貴重な時間を彼らが当然のように奪うのが、我慢ならなかった。  僕と同様に大金を稼ぎ出している連中と付き合う機会が増えた。彼らの生き方や考え方は興味深く、付け焼き刃で成功を収めている僕とは随分違った。  彼らが与えてくれる目新しい情報と引き換えに、僕は株の売買情報を与えた。自分が売り買いするタイミングと銘柄を伝えれば良いだけなので、大した手間など掛からない。結果が必ず伴ったので、彼らには有難がられた。  たまに会った時にだけ言葉を交わし、時々メールでやり取りをする。限られた時間の中で生きている者同士、互いの時間を無駄に奪うようなことはしなかった。その集団には女性も半数近くを占めていたので、交際相手と知り合う機会に困ることもなかった。他人に頼らずに生きていける自信と実力を持つ彼女たちは、僕の考える理想の女性像だ。  いつしか、仲間内で会合を持つことが、何よりの楽しみだと思えるようになっていた。  資産も順調に増え、既に11桁に到達している。
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