お客様

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「ありがとうございました。またお越しくださいませー」 結局、最後のレジまで私が担当したけれど。 橘が私に気が付くことはなかった、と思う。 また、橘は来るだろうか。 サラリーマン風だったから、仕事中だったのだと思う。 この辺りで仕事をしているのなら、来る可能性はあるかもしれない。 もっとも、今日の食事が橘の口に合っていたなら、の話かもしれないけれど。 それでも、長年働く私が言うのも変な話だけれど、ここのお店の味は悪くないと思うんだよね。 いや、そもそも、橘は今までここのお店に来たことがあるのだろうか。 私がこのお店に入るようになって何年もたっているし、最近では週に何回も顔を出しているけれど。 少なくとも私は橘を見かけたことはない。 私が入っていない時に来てたらわからないけれど…。 もしかしたら偶然立ち寄っただけなのかもしれない。 だとしたら、もう橘が来ることはないのだろうか。 そもそも、私は橘に来て欲しいのだろうか。
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