お客様

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《橘 雅仁》 今のって…立川、だったよな。 名札にも、立川って書いてあったし。 多分、立川で間違いないと思う。 立川と俺は、同じ中学校だった。 そこで、3年間同じクラスだった。 それだけ。 もしも、ここに会社の同僚がいたとして。 ふと話すとしても、彼女、同級生だと思う、それくらいしか説明できない。 だけど。 俺はあの頃、立川のことが好きだった。 中学1年生。 入学式の日。 同じクラス、橘と立川。 隣の席だったあの日から。 一目惚れだった。 それから、わざと同じ保健委員になった。 少しでも、立川の近くにいたくて。 その甲斐あって、それまでよりは話せるようになった。 だけど、告白できずに2年生。 2年生もまた同じクラスになれたけど。 今度は、最初の席、隣じゃなかったんだ。 斜めだった。 だけど、やっぱり告白できずに3年生。
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