お客様

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…少しくらいなら、話しかけても大丈夫だろうか。 今は、それほど混雑している様子はないし。 レジだって、後ろには誰もいない。 「ありがとうございました。またお越しくださいませー」 …聞いてみよう。 「あの…立川、、、立川 奈央さん?」 昔、こっそり書いたことのある名前。 でも、呼んだことは1度もない名前。 「…やっぱり橘だよね」 笑った。 ふんわり笑った。 あの頃、俺が好きで好きでたまらなかった笑顔。 「…良かった。間違ってなくて。最初来てくれた時から、橘だよなって思ったんだけどね。自信なかったから…」 立川も気付いてくれてたんだ。 でも… ここからどうしたらいい? あんまり長話しても迷惑だろうけど。 できたら、少し話したいのが本音。 あ。 「立川、これ、俺の名刺。下の番号が、プライベート携帯の番号だから…良かったら連絡してよ。ほら、せっかく久しぶりに会えたんだし、さ」
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