モノクローム

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『私』という名の人間が、今この教室で、十数人の新しい仲間の前に立っている。仲間…?私はこの人達と仲間になれるだろうか?私は彼らを、仲間として見れるだろうか?まだ決め付けるのは早い。話してみてからでないと。担任教師が、黒板に私の名前を書いて紹介してくれている。少々緊張気味に、自分の声を出してみる。…うん、いつもの私の声。 今の私には、目の前の彼らが白黒にしか見えない。目の色彩を判断する機能がおかしいのではない。これはあくまで、私の心理的な事。私、中原美里は、数ヵ月前に両親が離婚して母親に引き取られ、母親の旧姓である『中原』になった。元の名字は『剣持』。実を言うと、勇ましいイメージのある『剣持』より、真ん中辺りでちょうどいい『中原』の方が好き。さて私は、このクラス。この仲間で再び笑顔になれるだろうか…。
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