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穴太衆/集落
厄災はその力を日毎に増し、駆逐した地表をその勢力下に納めどんどん肥大化している。
それが起こるその前に、感じ、予見し、手を尽くして#争__あらが__#っている。
我々種族は抗い難きに争う者、いわば厄災に対するレジスタンスとして営みを続け独自の生活圏を獲得した。
地表から潜り一層隔てたその下に、人知れず張り巡らされた巨大な石坑。
始祖が切出し、連綿脈々と掘り進み、今では地表上と違わぬ規模の都市国家として日々を営なんでいる。
元々は石に関する請負仕事を担う石工達が起こした組合が始まりで、各々が集まり一所に住まい出し、技術を競い合い、知識を教え合い、大仕事では助け合いしていたそうです。
やがて人伝に噂が広まり、自領の職人では手に負えない様な難仕事は、御先祖方々へ声がかかる様になり、方々へ駆り出される様になり、穴太の衆は自分たちの部落から、徐々に外へと出向いて行く様になりました。
石の仕事は時間がかかりますから、出先で半年、一年過すなどということはザラにあり、そこで地の娘と恋仲になり、その地で一本立ちする者などもいた様ですが、大概は工期が終わると集落へ帰ってきて、数いる石工の一人として精を出したそうです。
元々は寄り集まりの職業集団が起こりなのですが、石工という職業を共にする共通意識が結束を生み、皆この地に属する事を誇りとして#偏__かた__#ずんでいたようです。
出先で落ち着く事があまり無い代わりにといいましょうか、出先から連れ帰る事は多くあったようで、方々の文化方言が集まって、地表の最盛期には、自他共に認める独立領の様になっていたそうです。
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