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アパートをあとにして、私は家路を急いだ。少しでも早く、ここから抜け出したかったのだ。
私たちへの餞別を贈られたが、私は怖くて、恐れと不安がいつまでも身体にまとわりついて離れなかった。
黄色い薔薇って、確か「友情」っていう花言葉だった気がする。圭介さんに対しての思いが愛情から友情へ変わったから?
まさか、そんなこと……
だったら私にあんな顔を見せたり、する?
ますます気がかりになり、急いで花言葉を調べた。
「不貞」「嫉妬」「裏切り」
やはり、餞別などではなかったのだ。
自作のイラスト集も、依子の魂が入っているようで気味が悪い。圭介さんは少し目を通したかった様子であったが、朋恵が気に病むならと了解してくれ、私はすぐに捨てた。
依子は、もう二度と私たちの前には現れないって言った。
だから、安心していいのよね?
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