1人が本棚に入れています
本棚に追加
「来年は丑年だから、牛の写真を撮ろう」
昔は10月になると、写真入り年賀状を頼んだものだ。
早期割引で30%引きになるからだ。
そして、去年来た年賀状の数を数えて、必要枚数を予測する。
もっと昔は、はがきサイズの版画を作ったこともある。
彫刻刀で「賀正」と干支などと彫るのである。
市販のスタンプやシールを使ったこともある。
はがきサイズの中に、エネルギーを込めて作ることが恒例行事であった。
しかし、最近は年賀状が極端に減った。
職場でも「個人情報を守る」という名目で、年中行事も一緒に抹殺された。
多くの人がパソコンのデータベースを印刷して、宛名を一気に作る。
そしてボールペンで一言書きもしないと、
「もう年賀状はやめましょう。お互いのために」
と暗に言っている。
ここまでの話は親しい間柄や、普段顔を合わせる機会がある人とのやり取りが多い。
もう一つ別の問題がある。
フォーマルな付き合いで送る年賀状である。
例えば取引先企業や、顧客への挨拶である。
これは、やめると影響が大きいので、なかなかやめられない。
だが受け取った側は、
「今年も送ってくれた。ありがたい」
とは、決して思わない。
だからと言って、メールやSNSでは、年賀状よりも読まれないだろう。
減っていくことは否定できない事実である。
最初のコメントを投稿しよう!