地球滅亡の前夜

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 地球が滅亡する。そう予言したのは、だれもが知る有名な預言者だった。そのことを中学校に入学したばかりのぼくはテレビの特番で知った。そして、ぼくはこう考えた。  地球がなくなるなら勉強なんかしなくたっていいじゃん。  それからぼくは二階にある自分の部屋に閉じこもった。  突然、学校に行かなくなったぼくに、お母さんは、「あんなに真面目だったのに、どうして急に行かないなんて言い出したの。もしかして不良になったの」と嘆いていた。だけど、それは違う。ぼくは地球が滅亡する前にやりたいことを見つけようと思ったんだ。  試験がどうなろうが気にしない。成績だって関係ない。勉強なんかしなくたって、どうせ地球はなくなるんだ。そんなことより、生まれてきてよかったと思えるようなことをやりたい。  だから、ぼくはまず『やりたいことリスト』をノートに書くことにした。  まず最初に浮かんだ『やりたいこと』は流行りのロールプレイングゲームで、すべてのキャラをレベル99にして、ラスボスを雑魚レベルで倒すことだった。これはノートに書き留めるまでもなく取り掛かった。  ぼくは来る日も来る日もレベルアップと戦いに興じた。すべてのキャラがレベル99まで到達し、レアな装備も手にした状態でボスキャラをあっけなく倒したときの達成感は半端なかった。  ぼくは極めることの素晴らしさを学んだ。  それから本気で考えた。地球が滅亡するまでにやりたいことを。  お父さんとお母さんは何度もぼくに学校に行くように言ってきた。だけど、ぼくは完全に無視して、やりたいことをやった。
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