ひとひら、こぼれて落ちないように

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 かさりと乾いた雑木林の中をゆるく登っていく、大人ひとり分くらいの幅しかない細い道。  それをだらだらと三十分ほど歩いた末に目の前が開けて、私たちは立ち止まって深く息を吐いた。 「北浦さーん、これ、頂上ぉ?」  ポニーテールが揺れるくらい、はあはあ息を切らしているのは、他大学の同期。この教育実習期間中、同じ班になったメンバーだ。 「頂上っていうほど登った?」 「でも、さっきこの木を見たような」  もう少しかかるんじゃ、と思っていた私の目の前に、汗一つかいていない別の同期が出発前に配られた地図を差し出した。手描きイラストをプリントした地図の「ゴール!」と書き込まれた近くには、三本に分かれた特徴的などんぐりの木が書き込まれている。 「ここが目的地です。お疲れ様でした」  引率の桑原先生の声に、やっぱり! と同期二人の顔がゆるむ。 「ここで、お弁当含めて四十五分の休憩を取ります」  これは、実習の一環としての散策と周辺の地図を改定するための下見、なんだけど。  ほとんど遠足気分になっていた私たちは、お弁当と休憩という言葉に子どものように歓声を上げた。
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