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しかし手に入れたら、目の前で私に愛の言葉を口にするこの男の事が、次第につまらない人間に思え始めた。
そんな時出逢ったのが、貴文だった。
アパレル関連の事業を主に扱う企業の創業者である彼は、見た目も、学歴も、どれをとっても駿よりも優れていた。
そして悪魔との契約通り、貴文も駿同様、すぐに私を愛するようになった。
この人こそ私にふさわしい、運命の人だわ!
そう感じ、私はあれほど求め続けてきた駿をあっさり捨てた。
泣きながら、嫌だ、別れたくないと訴える彼を前に、悪魔に言われた『強欲』という言葉が脳裏に浮かんだ。
確かに、その通りかもね。
だけど世界中の男達が私を愛してくれるなら、こんな男に執着する必要なんて、どこにもない。
そんな気がした。
貴文との関係は、良好だった。
彼は私を溺愛し、望むモノは何でも与え、満たしてくれた。
だけどしばらく経つと再び、新たな欲が芽生えた。
この男よりも、世の中にはもっと私にふさわしい人間がいるんじゃないかって。
私の欲は、留まるところを知らなかった。
人気の俳優や、政財界の大物の二世。
大手企業の社長や、世界的に有名なデザイナーも、一目私を見るなり恋におちた。
だから私はより優れた男性が現れる度、付き合っては別れるという浅く薄っぺらな恋愛を繰り返した。
でも、当然でしょう?きっと誰だって、そうするわ。
悪魔との契約通り、世界中の男が皆私を好きになってくれるんだもの。
私は何も、悪くなんてない。
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