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新しい恋人と付き合う度、相手の男性に運命を感じるのに、いざ付き合ってみたらもっと良い人が。
......自分にふさわしい男がいるはずだと、欲が出た。
こうして私は、次々と男達と関係を持っていった。
とはいえすべてが、良い事ばかりだったワケではない。
好みじゃない男に言い寄られたり、別れた後元カレがストーカーと化したり。
そういう面倒事も増えたけれど、その時々付き合っていた人間の財力でそれらは全部解決した。
だけど......。
私を守るべき存在であるはずのボディガードの醜悪な男すらも、隠された欲望を抱いていた。
それに気付かなかった私は男に目隠しをされ、車に乱暴に乗せられた。
「......こんなふざけた真似をして、あなたの雇用主が許すと思う?」
怯えているだなんて思われたくなかったから、恐怖で震えそうになる自分を鼓舞し、冷たい口調で聞いた。
だけど男はクスクスと楽しそうに笑い、答えた。
「許さない......でしょうね。
だけどそんなの、どうでも良い。
あなたが、手に入ったんだから」
その言葉に、悪寒が走った。
確かに私は、世の中の男性すべてに愛されたいと望んだ。
でもそんな考えは、間違いだったの?
......駿だけに愛されたいと願えば、私は幸せになれていたのだろうか?
そんな風に、一瞬だけ考えた。
だけどそれではたぶん、満たされなかっただろう。
それに今さらそんな事を考えたところで、何の意味もない。
大丈夫。きっと恋人が私を見付け出して、こんな茶番劇から助け出してくれる。
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