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しばらく車を走らせた後、男は強引に私を降りさせた。
そして部屋に連れ込むと、ようやく目隠しを外した。
こんなにも醜い男に触れられるのは本当に嫌だったけれど、抵抗して殺されるよりはマシだろうと考え、覚悟を決めた。
だけど男が求めたのは、私のカラダなんかじゃなかった。
彼は女を傷付け、いたぶる事でしか快楽を得られない、異常性癖の持ち主だった。
ナイフで頬を切り付けられ、私から滴り落ちる鮮血を見て、男は恍惚とした笑みを浮かべた。
それから男は私を縄で縛り、逃げ出さないよう両足首を、金槌のようなモノに力を込めて殴打して骨を折った。
あまりの激痛に、意識が遠退きそうになる。
全身から、汗が吹き出した。
視線を恐る恐る下にやると、青紫色に変色し、自分のモノとは思えないほど腫れた足首が目に入った。
「あぁ......夢みたいだ。
遥さんをこうして、人目を気にせず愛する事が出来る日が来るだなんて!」
その言葉に、心底ゾッとした。
だけどこんな状況では、何の抵抗もする事が出来なかった。
彼は殴り、切り裂き、激痛に顔を歪める私を見て、幸せそうに笑った。
意識を飛ばしそうになる度、男は新たな痛みを与える事で、私を無理矢理現実に引き戻した。
終わりのない痛みと、飢えと、恐怖。
すぐに恋人が私を見付け、助けに来てくれるに違いないという甘い考えは、日が経つにつれ薄れていった。
最初の頃は窓の外から射し込んでくる光を頼りに、今日がいつなのかぼんやりとだけれど把握していた。
だけど男とふたり、時計のない薄暗い部屋でずっと過ごしていると、ここに来て何日が過ぎたのか、やがて分からなくなった。
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