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しかしそんな地獄のような毎日は、突如終わりを迎えた。
男は今にも、泣き出しそうになりながら......だけど幸せそうに笑って、言ったのだ。
「ごめんね、遥さん。
もう俺、限界みたいだ。
あなたをめちゃめちゃに、切り裂きたくて。
......殺したくて、仕方がない」
だけど不思議と、恐怖心はもうなかった。
むしろやっとこれで苦痛から解放されるのだと思うと、何処か少しだけホッとしてすらいたかもしれない。
そして男が私の心臓を目掛け、ナイフを振り上げた。
それをぼんやりと見上げながら、悪魔の嗤う声が聞こえた気がした。
『あーあ!だから僕は、言ったのに。
......欲張り過ぎるから、そんな事になるんだよ』
【......fin】
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