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怒らず、優しく…だが彼女はまた黙った。
その黙りが、俺を不安にさせ…苛立ちを覚えさせる。
職場の夜勤時、俺はミスをした。
大きなミスではない、ケアレスミスだ。
だが…そのケアレスミスは誤薬で、命に関わる可能性もあるらしく俺は相当に絞られた。
上司からは「いい加減、仕事を覚えろ。 最近、集中力が足りてないんじゃないか? 命を預かる仕事だと言うことをもっと理解しろっ!」と、頭ごなしに怒られた。
自身の不注意から起きたミスだ…非は完全に俺にある。
反省すべき案件だ…不幸中の幸いか、誤薬してしまったばあちゃんは何も問題なく事なきを得たが―――俺は今日の出来事を彼女に訊いてほしい。
癒してほしい、そう思い立った。
携帯を取り出し無料通話メールアプリを開くと…その画面にはフリーター時代の友達から、一件の連絡が入っていた。
内容は――――「お前の彼女、浮気してるぞ」その文章が目に入った俺の視界は…真っ白になった。
急ぎ、彼女に電話をした…仕事中の時間帯だからか出なかった。
ならばと思い、メールを送った。
無反応だった…既読すらも付かない。
家に着き、携帯を眺めるが…変わりはない。
気分転換に風呂に入り、再び携帯を見た。
既読にならない。
不安の波が俺の心に押し寄せ、苛立ちとなり俺の心を支配する…いつしかその苛立ちは、怒りへと変わっていく。
「くそ、ダメだ…」
どうしても落ち着かず、携帯ばかり見てしまう…気付けば俺の足は家の近くのコンビニへ。
禁煙していた煙草を買い、いつの間にか煙を吸い込んでいた。
それでも落ち着かない俺は…友達の存在を思い出し電話をする事にした。
受話器の向こうで、コールが鳴り響く。
三コール目で、通話が開始されるといの一番に俺は叫んでいた…。
何も悪くない友達に、親切心から状況を教えてくれた友達に当たり散らすかの様に…。
「お、落ち着けって―――」
「―――落ち着いていられるかっ! どういう事なんだっ…!!」
友達は暫く、俺の言葉を訊き…落ち着くまで付き合ってくれた。
「見たんだよ…この前コンビニで二人で歩いてるのをさ」
「な、何かの間違いだろ…? ただ遊んでただけとかじゃ……?」
「…言い辛いけど、手を繋いでたぜ」
その言葉を訊いた俺は――――叫んでいた。
携帯を投げ飛ばし、彼女との思い出ある部屋を壊すかの様に暴れた。
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