当たり前が終わる瞬間。

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二人暮らしをした時から使用している、彼女が好きな色の黄色のカーテンを引き千切り…最近新しくした丸型のゴミ箱を蹴り上げ、彼女とお揃いの部屋着を壁に投げ付けた…。 それでも怒りは治まらず…呼吸が激しくなり、俺は床に倒れこんだ。 「い、息が…出来ない……」 俺は過呼吸になっていた…涙が溢れ出始めた…止まらない、息苦しさも涙も……。 俺は一人、ここで死ぬのではないか…?そう思わせる程の辛さだった。 「…信じ、たくない…信じて…たまるか……」 俺は泣きながら何とか携帯を手に取り、画面を眺めた。 液晶に罅が入っている…まるで、俺と彼女の関係を物語るかの様に……。 俺は頭を抱え、再び暴れた。 暴れ続けた俺は、いつしか疲れ果て眠っていた。 起きた時には暗くなっていた。 電気を付けていなかったからからだ…そして時刻は夜の九時を過ぎていた。 暴れ回り、無惨な部屋を見ると…朝の出来事は夢ではなかったのだと理解した。 放心状態になりながらも、携帯を手に取った。 無料通話メールアプリを起動し、彼女とのやり取りを見ると…一通の連絡が入っていた。 そこには――――「今日、帰り遅くなるから先に寝てていいよ」そう書いてあった。 ポットの様に沸騰する俺の頭は…気付いたら彼女にある言葉を送っていた。 「もう帰ってこなくていいよ」 その言葉を見て、既読はすぐ付いた。 付いたが…返信は来なかった。 「あぁ…友達の言ってた事は本当だったのか、こんな酷い事を言っても何で?と聞き返して来ないのはつまり―――」 それ以上の事は考えたくなかった。 気付けば涙が溢れ、再び息苦しさを覚えて…俺と彼女との長年の付き合いは終わったのだ。 あっさりと…彼女との関係が終わったのだ。
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