オマケ 狼もバイトをする

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オマケ 狼もバイトをする

〜 ロボ 視点 〜 此処に来て、三年になる 俺は、もう八歳か 実際の狼に比べたら歳だろうが、明日羅家は生まれてから平均八十年は生きると聞いた そう考えればまだまだ若い方だろうが、この生活が楽過ぎて、少し弛んだ気がする ゙ 体重何kgなんだよ? ゙ 「 九十五kgになった 」 由羅から与えられたスマホも一年も経たずに、使い方はマスターしてる為に、 同じくスマホを持ち、LINEのフレンド第ニ号となったボリスと通話しながら答える 便器に座ってやることを終え、トイレットペーパーを丸めては尻を拭き、立ち上がっては便器へと視線を落とす ゙ 重くねっ!?そりゃ御前、でかいけど ゙ 「( 今日も快調だな… )」 バナナを二本眺めてから、トイレの水を流し洗面器で両手を洗う 俺が人間の姿に慣れると知ってから、由羅の奴がここのトイレを使って欲しいと言ったから、使い方を学び使えるようになった 今では、TV、洗濯機、簡単な調理器具だって分かる 俺達のような半分狼で人間の奴等は、 人間の赤子まだ一歳のバブバブ言ってる時には、既に生き方を学び小さな小物ぐらいなら仕留めれるようになっている 二歳で成熟するなんて、只の人間では考えられないだろうな ゙ ちょっとは動けって、あ、そうだ。バイトとかしねぇ? ゙ 「 は? 」 ゙ 俺、昼間がすげぇ暇だから、また働き始めたんだけど。その職場がいいの!だからさー、店長には俺から言うから、ちょっと様子を見に来いよ。研修って形で ゙ 「 いや、別に… 」 トイレから出れば、暇そうにしてるジジババ達の為にTVのドラマをつけていた為に、リビングに戻り大きなTV画面へと視線を向ける ゙ 働きもせず、食べて寝てるだけの御前は息子じゃない!出ていけ!このニート!! ゙ ゙ うっせぇな、出ていきゃいいんだろ。出ていきゃ!! ゙ 丁度、家族喧嘩なのか息子役の男が家を飛び出して行くシーンだった それを見て、耳と肩に挟んでいたスマホが落ちかける ゙ ニート ゙   頭の中で過ぎる言葉 由羅は収入があり、俺一人ぐらいなら養えるからと言って、別に働くことを強制するわけでも、その話を言った事も無かった 俺自身も、人間の姿になる事は嫌では無くなったが…だからといって人間に混じって働く気はない 様々な匂いや、格下の連中だろうと頭を下げなきゃならない αである俺が、βやΩみたいな人間達に媚びへつらうのが、腹立つ程に気分が悪い だから、働いてみようって気分は無かったがドラマの内容と何気無く片手を横腹に当て肉を摘む ムニッ… 掴まれる何かがそこにあることに、額の筋はピクリと動く ゙ 毛で隠れてるからって油断すると、直ぐに豚になるぜー?俺みたいにパーフェクトボディー手に入れると、もっと由羅さんにも好かれるんじゃね? ゙ 「 もっと好かれる…… 」 ゙ おう!後、やっぱり金があるとプレゼントも出来るしな!貰ってばかりってなんか尺に触んね? ゙ 「 プレゼント…… 」 ふっと、最近…人間になる事が増えた俺にくれたものを思い出す 横腹に置いていた手を首にぶら下がる縦長のプレートとシルバーのチェーンへと触れる ゙ 首輪は目立つから、人間の時にはこっちを着け下さい。うん、とてもお似合いですよ ゙ 「 ……… 」 男物のネックスをくれた由羅の笑った顔を思い出すと、俺は此処に来て何もプレゼント出来てないことを知る 飯も任せっきりで、新しい毛布、人間の時に使う食器でさえ、由羅は嫌な顔せずに買ってくれていた 仕事から終わって疲れていても、俺や猫達の相手をするのすら怠らない そんな、彼奴に…働いて金が手に入れば、 プレゼントを渡せるのか… 「 そうだな… 」 ゙ だろ!だから来てみろよ。場所わかんねぇと思うから迎えに行く。いつもの公園でな ゙ 「 今からかよ… 」 ゙ もちろん!善は急げってな ゙ 「 分かった 」 ゙ 身分証明書みたいなのあれば持ってきてな ゙ もう少し考える時間があると思っていたが、全く無いせっかち野郎のボリスに、通話を切られてから溜息が漏れる 「 身分証明書…か 」 そう言った物が無い訳ではない 明日羅家の人達と関わってから、生きてる事を知ったオヤジが色々とどこからか持って来た知らんが、保険証、住民票等もくれたからな それに、それらがあるって事は作れるマイナンバーってやつも、少し前に出来上がったばかり、其れが必要なんだと思い 由羅がくれた財布を持って出る 物が買えるカードすら入ってるから、これを持って出掛ければ何とかなる 「 ジジババ、ちょっと出掛けてくる 」 「「( 行ってらっしゃい )」」 由羅には聞こえない猫達の声 人間寄りであり一族も聞こえない連中が多いが、俺は山育ちだから色んな生き物の言葉は分かる それが鬱陶しいと思う時はあるが、此処にいるジジババ達の声は嫌ではない 寧ろ、無ければ気になるようになってるから、言葉が分かっていいと思う それに、偶に由羅に通訳してやると 嬉しそうにしてくれるからな、猫達も由羅と会話が出来るようになって前より元気になったみだいだからな 「 暑っ… 」 夏の照り付ける太陽に眉を寄せ、生え変わったとは言えど人の姿になれば厚手の服を着てるようなもの、変人と見られてもおかしくは無い ファー付きのパーカーを着て、黒のズボンに、革靴と手袋は変わることはない まぁ、傍から見れば暑苦しそうに見えるだろうが、通気性を含めて獣の時とかわりはしないからな… 一瞬、暑く思える昼前の気温だが、少し歩けばそう思わなくなる 「 ロボ〜! 」 「( 夏だよな…今 )」 いつもの人工池がある公園に歩いていれば、向こうから走って来る人間の姿をしたボリスに、眉は寄る 俺よりここに来るまでに距離があるのに、それを諸共せずに走ってきたと思うと、コイツは体力馬鹿だろ 「 はぁ、良い汗掻いた。丁度、バイト始まる前だし行こうぜ?店長には、友達連れてくるって伝えて許可貰ったから 」 「 そうか…( 友達… )」 俺とボリスは、果たして友達なのだろうか パートナー同士が仲良いってだけで、種類も一族も違うから、普通なら関わらない者同士だ それがこうして話をしたりするのは、パートナーの存在が大きいんじゃないか 「( つーか、Ωが並んで歩くなよ…イライラするわ… )」 肩を並べて歩く由羅より小さいボリスに、イラッとするがコイツは其れを気にせず話をする 「 それでさ、ウチのチビ達可愛いんだよ。もう結構デカくて、大変だけど… 」 「( そっか、コイツ…息子いるんだったな… )」 そうとは見えないぐらいガキみたいな見た目してるから実感が湧かないが、話を聞く度に母親なのかって思う 由羅は、Ωでもない普通の人間で 俺達に子供は出来ないが、其れでもジジババ達と一緒に暮らしてるだけで満足してる 前に彼奴が悩んでた程には、俺は子供を求めちゃ居ないからな… まぁ、そのおかげで色々と世話を向けてくれる明日羅一族の者達とは知り合えたんだが… ボリスの話を聞きながら、公園を離れ、コイツがバイトをしてるって所に行く 街の方には行くことなく、案外…自然豊かに作ってる人工公園の近くなんだと知って驚く 「 ジャジャーン。三ヶ月にオープンしたばかりの、トレーニングジム! 」 「 ……ほう? 」 綺麗な外見の建物で、二階と三階のトレーニングルームは其々に全面ガラス張りになって、この公園を一望できるのだろうって思う 「 さぁ、入ろうぜ! 」 ここ全てがジムなんだと思い、ボリスに誘われるままに中へと入る 彼は手慣れた様子で、社員証を受け付けで見せてから階段を上がる 一階は休憩スペースで、自動販売機が並び、沢山のソファーがあった 奥にはシャワールームやサウナが完備されてるらしい そして、二階へと行く 「 おはようございます! 」 「「 おはよう 」」 まだ開店時間では無いのだろう モップで掃除していたスタッフ達は、ボリスを見るなり笑顔を向けて来た 「 おはよう、ボリス。へぇ、彼が前々から話していた子かい? 」 「 そうです!友達の猫塚 (ねこづか) ロボ! 」 「 初めましてこんにちは、ロボです 」 「( すごく棒読みだし…睨まれてる… )」 由羅が挨拶してるのを見たから、それを真似て言えば、茶髪の髪をした俺より若そうな男は、此方を見上げてきた 顔の爽やかさに似合わず、身体はデカイと思うほどにジャージの上からでも分かるほどに筋肉がある 「 俺はここの社長であり、インストラクターの澤口(さわぐち) 大翔(たいが)と言うよ 」 「 店長はボディービルダーもしてるから、筋肉すげぇの!俺、店長みたいになるのが夢なんだ! 」 「 そう、なのか… 」 ボディービルダーが何かは知らないが、ボリスがコイツみたいにガチムチ系になりたいって事は分かった Ωだから余り筋肉は付かないだろうに… 其れでもやるってことは、それだけ頑張ってるのだろうな 「「( ボリスくん、相変わらず健気…。可愛い…… )」」 キラッキラッの目を向けて話すボリスに、他のスタッフ達はニコニコしてたが、コイツはちょっとしたマスコット的なんだと思う まぁ…犬?だからな… 元々、人間には好かれやすい 「 あ、俺…着替えてきますね!ロボをお願いします! 」 「 うん、分かったよ 」 あの肩に掛けてたカバン、着替えが入ってたのか 必要ないだろうが、形だけだろうなって思い、ボリスが立ち去った方を見た後に、澤口と名乗った男を見下げる 「( 高身長だし…なんか、迫力あるな… )」 百八十位の彼を見ていれば、少し目線を下げた彼は招く 「 えっと先に、書類を書いてほしい。アルバイトの研修で良かったかな? 」 「 ……はい 」 「 採用するに至っては少し考えるけど、履歴書をね… 」 案内された小さめのテーブルと椅子に、先に座った彼を見た後に、椅子へと腰を下ろせば、彼はファイルを開き中から履歴書ってやつを出しては、手元にボールペンと共に向けてきた 「 書ける範囲で良ければ、埋めてくれると助かる 」 「 ……… 」 紙とボールペン、それを見て眉は寄る 街に降りてから働こうとした場所は、土木系の建設現場だった こういったものが無く、さっさと働けってばかりの日雇いだからこそ書いた記憶が無い だからこそ、その紙を見た後に着替えてから戻って来たボリスが視線の端に映るが、答えた 「 俺、文字…書けない 」 「 え… 」 「「( えぇぇえ……!? )」」 目の前に座ってる澤口もキョトンとするが、聞いていたスタッフ達もどよめく そんなに驚くことか?と思うが、ボリスは掛け走ってきて服を掴む 「 お、御前…!バイト位したことねぇのかよ!?名前ぐらい書けるだろ? 」 「 ない… 」 掴んでいたボリスの手を振りほどいては、少し視線を外す 「 御前と違って、俺はずっと山で暮らしていた。自給自足で弟達にその日の飯を食わすことを考えて鹿や猪を捕って生きてきた。弟が死んでから、やっと最近…三年前に街に来たばかりだ。悪いが、文字書きを含めて一切出来んぞ 」 「「( なんか、辛い過去を持って、生活してたんだね…! )」」 フンッと言い放った俺に、スタッフは目を潤ませ、ボリスは唖然としてるが目の前にいた店長だけは、少し考えてから告げる 「 スマホでメールは打てる?俺が書類には書くから、打ってほしい 」 「 スマホは使える。一年でマスターしたからな 」 「「( 謎のドヤ顔、そしてスマホは使えるんだ!ナイス店長!! )」」 直ぐにフレンド第四号となる、澤口という男がLINEに増えた 因みに、第三号はボリスのパートナーだ この人のLINEのトーク画面に、言われた事を記入していく 「( 全部ひらがなだったけど、いい!分かる!! )」 文字を打つより、通話した方が早いから 余り上手くは打てなかった 〜 例 ボリスとのLINE 〜 (ボ)「 ロボ〜、おはおは 」 (ボ)「 公園近くのドッグカフェ行こうぜー 」 (ボ)「 俺様が奢るからさ☆ 」 「( 通話 )」(ロ) 0:32 (ボ)「 んじゃ、先に待ってる 」 ※通話ボタンを即押すロボ
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