オマケ 狼もバイトをする

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「 んじゃ、履歴書はもういいや。服を脱いでくれるかな? 」 「 ……あぁ 」 書類をファイルへと戻した澤口の言葉に、ここで脱ぐのか?と疑問になり、僅かに眉を寄せるが掃除をしてるボリスを見ても何も言わない為に、必要な事なんだと思う 仕方無く立ち上がりパーカーを脱ぎ、そのままシャツまでも取っぱらう 「( 言い方が悪かった…全部脱がなくてもいいのに…けれど……鍛え甲斐がありそうな身体!! )」 「「( すごっい………ドエロい体… )」」 「 ん? 」 掃除をしていた手を止めた連中の視線が気になり、何があるだろうかと疑問になり身体を見ていればボリスはスッと現れ、腕に触れてきた 「 すげぇ!御前、なんでこんなツルツルなの!?肌綺麗だし!案外、がっしりしてたんだな!もっと筋肉見えたらいいけど! 」 「 由羅が…洗ってくれるからな 」 「 へぇ、じゃ…下の毛も生え揃ってんの!? 」 「 見るか?切り揃えてるぞ 」 「 ウソー!まじで!あとで更衣室で見せてー 」 ズボンへと手を掛ければ興味津々に覗こうとするボリスに、俺達の会話を聞いていた女性は鼻血を出した 「 グハァ……!!( 見せなくていいけど…みたい!! )」 「「( ベテランインストラクターの関谷さんが鼻血出した!?恐るべし、ドエロボディ )」」 なんか、向こうの方が騒がしいなって思えば澤口はゆっくりと立ち上がった 「 じゃ、そのまま体重計に乗ろうか。俺、インストラクターがデブって許されないと思ってるんだよね。だから君の知りたくて 」 体重計に乗ることは知ってる為に、案内された部屋の壁際にある、それの前へと行けば言われた通りに上へと乗る 家に置いてあるのに似て、体重以外も事細かく表示される 「 すごっ…君、アスリート体型だね。脂肪も少ないし、一ヶ月ぐらいちゃんと運動すればバッキバキにわれると思うよ 」 「 ……もっと、嫁に好かれますか? 」 「 もちろん!ロボくん、君を採用するよ。俺達と一緒にマッチョになろう! 」 「「( 社長…。鍛え甲斐のある身体を見て、そっちを優先してしまった…社長らしいけど!! )」」 よく分からないが、俺は面接ってやつに受かったらしい 給料は銀行振込ってやつらしく、振込先のコピーをくれと言われたから、それは分からないから由羅に聞くことにする 直ぐにインストラクターの仕事を教えると言われ、与えられた紺色のジャージへと着替えてから、社長ではなくオープン当時からいるボリスが教えてくる 人間ではなく、狼だからなのか… 余り嫌な気はせずに聞いてられる 「 俺達は十人から二十人の生徒を受け持つ。その子達の食事のアドバイスやら、ダイエットのサポートをする。主に此処は女性ばっかだから平気と思うぜ? 」 「 そうなのか 」 「 取り敢えず、一人当たりのマニュアルはあるからこの項目を埋めながら、目標体重とBMIになるようにする。最初はこんなもんかな…分かんねぇことあったら聞いて? 」 「 嗚呼… 」 朝、来たらモップ掛けやら使う物を拭いたり消毒すること、担当の子が出来るまでは周りの人達を見て学んだり、好きな様に鍛えていいと言われた 使い方を知らなければ、教える事も出来ないと… 「( めんどうだな… )」 マニュアル道理ってのは分かりやすくていいが、それ以外が怠い やる気が出る要素が全く無い為に渋い顔をしていれば、ボリスは笑顔を向けてくる 「 後は笑顔な!笑顔、ほら…にっと笑って 」 「 に… 」 「 うん、御前…笑わないほうがいい。普通に怖いわ…子供なら泣いてるぞ 」 スッと目が死んだボリスに、笑顔が苦手な事ぐらい理解してる 寧ろ、なんで由羅以外に笑いかけなきゃいけないのか分からない 渡されたマニュアルを見ていれば、澤口は軽く手を叩いた 「 それじゃ、そろそろ開店するから挨拶をしようか。集まって 」 「「 はい! 」」 何でそんな声を出せるのか知らないが、取り敢えずボリスに手を引っ張られた為に仕方無く集まった方へと行けば、澤口の掛け声と共に続ける 「 おはようございます! 」 「「 おはようございます!! 」」 「 一緒にがんばりましょう! 」 「「 一緒に頑張りましょう! 」」 何だこの掛け声は… やってる意味が分からなくて、普段の声量で言っていれば澤口の視線は此方へと向けられた 「 ロボくん、笑顔で!はい、おはようございます! 」 「 おはようございます 」 「「 ……… 」」 ニコッと俺なりに笑った瞬間、彼等の背筋と表情は凍り付いたように固まった だから、笑顔が嫌いなんだと思えば澤口は視線を外し、咳払いをする 「 ゴホッ…、よ、よし…。ロボくんのキャラはクールキャラってことで…許そう 」 「「( 無理に笑わせたらお客さんいなくなるパターン…… )」」 許されたのか?まぁいいか、と納得しては 挨拶と基準となる掛け声を数個してから、其々に持ち場に戻る 一階で予約と受け付けを終えたお客さんと呼ばれる人間が入って来れば、其々に挨拶をする 俺はなりにチラッと挨拶してから、ボリスに連れられ鍛える 「 まず、ロボには体力が無いんだよ。この準備運動を兼ねてランニングマシーンで走るぞ 」 「 嗚呼 」 「 因みに、いつも散歩何時間? 」 「 一時間半だ 」 「 んじゃ…軽く走って三十分で設定する。走ってみて、速度調整するわ 」 よく分からない機会に立たされ、競歩位のスピードから、歩くジョギングでもしそうなぐらいの感じになれば、仕方無く其のリズムに合わせて走ることにした 「「( 凄い…走る音がしない… )」」 人間の身体で走るのは得意では無かったが、余り速度も早くないために苦ではなく、此処から見える森の景色やら、公園を歩く人間を見下げると気分は悪くない 「 おー、流石ロボ。走るフォームは格好いいなー! 」 「 そうだろ 」 「 おう! 」 「「( 流石ボリスくん…調子を上げるの上手い )」」 ふっと鼻で笑ってから走っていれば、スイッチの時間を調整したボリスは、他にやる事があるからとその場を離れた 何となく走り、色んなものを見てると、 ゆっくりと歩きながら話をする由羅の顔を思い浮かべる 俺が余り見ないような雲、木々、花を見て話し掛けるのを、こうして公園を見てるとそれ等に目を向けるのも悪く無いと思う 「( 由羅と、彼処を走るのも楽しそうだな… )」 「 三十分終わり、え…呼吸乱れてないのか… 」 「 ん?あぁ、もう終わりか 」 考え事していて終わった事に驚くが、ゆっくりと歩く速度へと戻った後に止まれば、ボリスは驚いた顔を見せ、話を変える 「 ま、まぁいいや。次に無酸素運動な。腹筋周りを鍛えるアブドミナルクランチを含めたメニューを考えて来たから、それやってみよう 」 「 嗚呼…… 」 俺が走ってる三十分の間に、メニューを考えたのか… 此奴、意外にこの仕事が天職じゃないかって位に凄くはないか? 働き始めて三ヶ月だろ…どんなに順応してんだ… 「( Ωに負けるのは気に入らないな…やってやる )」 謎の闘争心が燃えれば、コイツが決めた生温いメニューを全てやって行く気で行った 「 次に有酸素運動を四十分、走るぞー 」 「 っ、嗚呼…… 」 この三年、まともに運動してなかったと改めて思う 生温いはずのトレーニングメニューをこなすはずが、無酸素運動と有酸素運動を交互に行った後に、ボールによる運動やら挟んで行われるから息が上がる 「 よーし、今日はここまで 」 「 はぁーー……はぁ…… 」 昼食を軽く挟んだとは言えど、それが終わってからも続いたトレーニングメニューに、ジャージを腰に巻いてたとしても暑くて仕方無い ボリスの言葉と共に床へと倒れれば、コイツは見下げて来て笑った 「 大変だろ?インストラクターになるには、まずは自分でこなせるメニューを覚えて、効果があったのを教えるんだ。じゃないと、自分が出来ないものを押し付けたって、相手にはなんも分かんねぇだろ? 」 「 ……そう、だな 」 コイツは偶に良いことを言うと思う 俺自身が経験しなければ何もわからないと言うのか だから研修でありながらトレーニングから始める… これが終わった後に、自分が受け持ったお客に教える為に… 「 んじゃ、明日からもよろしくな。ロボ! 」 「 はぁー…此方こそ 」 差し出された手を取れば引き上げられた為に、立ち上がってはスタッフに挨拶をしてシャワールームを借り、軽く身体を洗って汗を流し、服を着替えて立ち去る 「 お疲れ様でしたー! 」 「 お疲れ様です 」 「「 お疲れ様です!また明日ね 」」 αである俺が、Ωに色々と指示されるのは気にいらないが… 否定したところで俺が完璧に出来る訳じゃない、だがコイツはΩでありながら其れを気にもせず、筋肉をつけようとしてメニューだってこなせる 文句言う事なんて何もない 「 それじゃ、ここで。炭水化物とクッキー系のおやつ控えて肉と野菜食えよー。鶏肉がオススメだ!んじゃ 」 「 嗚呼、ありがとな 」 「 おう! 」 朝に出会った場所で分かれてから、歩いて帰る 「( 疲れた…… )」 こんなにも夕暮れになるまで運動したのは久々だと改めて思い溜息が漏れる 帰って直ぐに狼の姿になって、横たわってしまおうかって思うが、ふっと目についたスーパーに立ち寄ることにした 入り口でカゴを持ち、中へと入る 「 パプリカは身体に良かったんだっけ…後はキャベツ。肉は…鶏肉か… 」 ボリスが言った物を思い出し、取り敢えずカゴに入れてから、肉コーナーで鶏肉を見て、俺が食う量と由羅も食べるだろうって位のササミ肉を入れ、会計をする 財布からカードを取り出し、カードキーに差し込んでから、買ったものをビニール袋に入れ家へと帰る 「 ジジババ、ただいま 」 「「( お帰り! )」」 「 ちょっとさ、飯作るからキッチン来るなよ。あぶねぇから 」 「「 ンニャー!! 」」 由羅が作ってたのを見てたし、 やればできると思い、材料を置き 肉球模様のエプロンを掴み首に掛け、背中で軽く結んでは、手を洗い感で作る そう言えば… 初めて由羅に、手料理を食わせることになるな
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