オマケ 本編とは別の狼

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最初にシェパードと検索したが、耳の大きさが違い、ホワイト•スイス•シェパード•ドッグを見ても顔立ちがシャープ過ぎる 次にシベリアンハスキーの白色を見れば、雰囲気はぐっと近付いたが、シベリアンハスキーの体高が違う 野良だからMIX?と疑問になり、白い犬で検索していれば、似てる画像から飛んで行った先にあった写真を見て、缶ビールの手が止まる 「 ホッキョクオオカミ…? 」 全体的にふっさりとした白い毛に覆われ、丸みを帯びた小さめの耳、首を下げて少し背を丸めたような歩き、それは動画を見たホッキョクオオカミと良く似ていた 「 いや、まさかね…こんな都会でホッキョクオオカミが居たら、騒ぎになってるはず 」 凄く似てるが、流石に狼は有り得ないだろうとビールを煽って呑もうとすれば、空になってた為に滴を啜った後、新しいのを出そうかとノートパソコンから離れた 其れから、あの薄汚れた野良犬は、 週に一度位に仕事終わり頃に現れようになった 何を思うのかは分からないけれど、 ある日、来てもいいように厚みのある猪肉のジャーキーをペットショップで買っていたから、其れを鞄から取り出し投げてみた 「 ジャーキー、食うか? 」 痩せてるように見える野良犬は、投げたジャーキーの元に行き匂いを嗅いでから口に入れ、食べ始めた 此方をチラ見しながら食べる様子に、 俺も、少しずつ興味を抱く 余り上げるのも良くないだろうと、来たときに数本上げれば十分かと思い、鞄にいつも猪肉のジャーキーを入れていた 一ヶ月、二ヶ月、半年と過ぎていく中で 徐々に夜に訪れる野良犬との距離は縮まり、触れる位の距離になったのは、 出会ってから一年が経過した頃だった 其の頃になると、他でも餌を貰ってるのか 肋が出る方では無くなった  只…… 「 君、臭いですよ。洗ったらどうですか? 」 何年洗ってないのか知らないけど、独特な獣臭に首周りを少し撫でただけで鼻に来るほどの独特な臭がする だからこそ、この汚れた野良犬が近づいて来ると余り良い顔は出来ないでいた 「 まぁ…独身の俺には、良い暇つぶしだからいいか 」 偶に来る、この犬に話し掛けて少し触れるだけで満足していた 車に乗る前に、近くの公園の公衆トイレで手を洗い、匂いが無くなってから車へと乗り込む これでも、お金持ちの方々と会う機会が多いので身嗜みや匂いとかも気にしてるからな いつも俺から離れるのではなく、あの野良犬からもういいとばかりに離れていくから、其れを追い掛ける気も無い 「 また今度… 」 毎日ではないからこそ、出会った日が楽しいと思う日々が続く ある日、休みの日に唯一ホッキョクオオカミを飼育してる゙ 那須どうぶつ王国 ゙へと観光ついでに遊びに行った 東京から栃木まで二時間半位のドライブだったが、独身貴族を謳歌してる俺には苦ではない距離だ 其処で、一人で動物園に入り人気のホッキョクオオカミのエリアへと足を止める 大きなガラス越しに見えた彼等は、正にあの野犬と似たような歩き方をしていた だが、何となく小柄のように見える 「 すみません、ホッキョクオオカミってこんなに小柄なのですか? 」 飼育員みたいな人がいた為に声を掛ければ、彼は軽く頷いては答えた 「 あーいえ、野生個体の雄では体重八十kgを超えるものもいるので、彼等は兄妹ですが小さい方ですね。四十Kg程なので 」 「 なるほど…。ありがとうございます 」 「 いえいえ 」 嗚呼、だからガラス越し小さく見えても仕方ないのか オオカミ達は飼育員の元に行くようにガラスへと近付けば、 俺は矢張り体格がいい、あの野良犬の方が大きいと思えた 他の動物達も見て回ってから、お土産コーナーへと行く 仕事場の社員に、クッキーでも何か渡した方が良いだろうと動物の絵柄が書かれたクッキーをいつくかカゴに入れれば、ふっと目についたぬいぐるみコーナーを見る 「 ホッキョクオオカミ…… 」 モデルはさっきの兄妹だろうが、其れでもホッキョクオオカミのぬいぐるみやキーホルダーなどがあった為に、一通りサイズの違うものを買う お座りしてるもの、うつ伏せになってるもの、見た目が単純に可愛いと言うのも有るが殺風景な部屋に飾りたくなった為に買えば、東京へと帰る 家に着き、たまに人が来るために目につく場所ではなく寝室のヘッドボードへと並べてみる 「 悪くない…いいですね 」 ぬいぐるみの様なものが興味無く、買うことも無かったのにこれをきっかけに、ネットでも海外からホッキョクオオカミのぬいぐるみやら集めるようになっていた 「 白兎(しらと)さん。それ可愛いキーホルダーですね?犬? 」 「 ん?あぁ、これですか。ホッキョクオオカミですよ。前に動物園に行ったときに買っていたんです 」 ビジネス鞄に取り付けていたキーホルダーにすぐに気づいた女性は、それを見れば小さく微笑んだ 「 この辺りで見掛ける、野良犬みたいですね 」 「 そうですね 」 「 でも、ちょっと大きくて怖くない?襲ってきたりとか… 」 他の社員が告げた言葉に、その女性は俺より先に否定した 「 大丈夫よ。なんせ白兎さんとこの店を守った野良犬よ?悪人を見分けれるから、他の人には襲わないんじゃない 」 「 あー、たしかに…賢い野良犬なんですね? 」 「 元猟犬って噂よ?確か…ユキとか言ってた気が… 」 ユキ?と疑問になり、彼女達の話を聞いていれば… あの野良犬は、゙ ユキ ゙と名前が付いた元猟犬であり、猪や鹿を中心に猟師の手伝いをしていたのだが… 俺が見かけ始めた、一年ぐらい前にその飼い主は病で亡くなったらしい 行き場を失くしたユキは、街を彷徨いてると… なんせ、この近くに飼い主が最後に入院してた病院があるからこそ、そこから離れられないと… 「 なんか可哀想ね…。飼い主を忘れられないのかしら… 」 「 捕まえて綺麗になれば、ウチの常連さんでも紹介出来るけど、手に来ないからねぇ 」 確かに洗えば綺麗な毛になるだろう 黄色くて足元は汚れてるような姿ではなく、美しい野生のホッキョクオオカミのように綺麗になると思う そうだな… 飼うか、誰か飼ってくれればいいが…
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