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全ての始まり②
「ここは……どこなんだ?」
雲一つない空に浮かぶ太陽。太陽光を優しく反射させる地面。遥か向こうまで続いていそうな光の道。
現実とあまりにもかけ離れたその光景に思わず唖然としてしまった。
ついさっきまでは、バスに揺られて……。
も、もしかしてここって……「天界」??
「ええ、その通りよ」
俺が呟いた声に反応するように、頭の中に声が響いてきた。
周囲に姿はない。第一に隠れる場所がない。一体、この声がどこから届いているのかとても不思議だ。
『これを商売道具にできたなら……』
社畜が染み付いているのか、未知の技術をすぐに商売に結びつけてしまう。
「ふふ、それは出来ないわ。清水雄太君」
再び発せられたその声は、まだ名乗ってもいない俺のことを知っていた。
「不思議に思っているわよね。今、姿を見せるわ」
その言葉と同時に姿を表す女性に眼を奪われてしまった。
色白い肌に聖母のような優しさを感じさせる眼を持っていながら、妖艶な雰囲気を持つ女性が佇んでいた。
「………………」
「ふふ、可愛らしいですね。そのお顔」
どうやら、見惚れ過ぎていたようだ。そんな見惚れ顔を可愛いという彼女の感性は少しずれているような気がする。
「本当にごめんなさい!!」
与太話から、急に謝る彼女の顔は可愛い……じゃなくて真剣な気持ちが強く表れていた。
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