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こんなところから出て行ってやる!と腕を振り足をばたつかせる。ガシャンガシャンと日常では聞きなれない、それでもこれはアレの音だとわかる。
そこまできて、初めて自分が拘束されてると気がついて「なんだかなぁ」と自分に呆れてしまう。
頭の上の方で縛られた腕を見上げて、なんで気が付かねぇかなとため息が出る。吊るされてる訳じゃないようで、足の裏はちゃんと地面に着いているのを確認して、もう一度見上げる。傷がつかないようになのか、それ以外に理由があるのかなんて知らないが、俺の両腕は手首のところをタオルのような柔らかい布を巻かれ、両手の間から鎖のようなもので天井のフックに固定されてるようだ。
・・・フック?
よく見ればそれは工事現場なんかでよく見る、あの巨大なフック。
なんだここ。ダンジョンのような場所に巨大なフック?チグハグな気がする。
・・・いや待て。俺が初めての転生者じゃないのかもしれん。前の転生者が色々残していった遺物だったりするのかも?
最近、そんなラノベ読んだじゃん、俺。
やべぇなんなんだこれ。
「やあ!お目覚めのようだね!」
ガッシャーンと大きな音を立てて目の前の扉が開く。
ガッシャーンって事は重いのか?とにかく状況を把握しないと。
ダンジョンの中は薄暗かったのか、扉の向こうから昼間の眩しい光が一気に周りを照らす。今がチャンスとばかりに周りを見渡すけど、結局光に目が眩んでしっかりと見ることが出来なかった。
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