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さらにその次の夜には噴水広場に少女の姿はなかった。
その後少女は一応漫画喫茶で夜を過ごしながら一晩考えたが、到底結論はでなかった。ヒントが少なすぎる。
そして考えているうちに異形の者達の名前が肉じゃがを連想させ、あまり料理が得意ではない母親が唯一得意にしていた料理のことを思い出した。
久しぶりに食べたくなったので、今日は久しぶりに家に帰ってみることにしたのであった。
ちなみ異形の者達から貰ったお金は20万円程持ったままだ。特別なお金ということで、普段は使わず、もしものためにとっておくことにしたのだ。
彼らが何者なのか、なぜお金をくれたのか、そのまま通い続けていたら最後に待っていた異形の者は誰なのか、どういう結末になっていたのか想像もつかない。
世の中には何か深い意味がありそうに見えて、実際のところ何もないということもよくあるわけで、それと同じだったのだろうと少女は思うことにした。
少女が家に帰ったその日、テレビを見ているとニュース速報が流れた。
【ミーニングレスタワー1階西口で無差別通り魔。重軽傷者多数】
それを見て少女は血の気が引いていくのを感じた。次の日も行っていれば、間違いなく自分も巻き込まれていたであろう。
そう言えば一つだけ気付いたことがあった。
最初はしらたき星人。一万円札に書かれていた数字は“1”。貰ったお金は1万円。
次はこんにゃく星人。一万円札に書かれていた数字は“3”。貰ったお金は3万円。
次はじゃがいも星人。一万円札に書かれていた数字は“3”。貰ったお金は9万円。
その次はみりん星人。一万円札に書かれていた数字は“1”。貰ったお金は9万円。
一万円札に書かれていた数字はその日貰える金額を示しているのかと思った。初日は1万円で次の日からは前日の貰った金額に数字分を掛け算すればたしかにその金額になった。
しかしそれよりも、星人名を見て肉じゃがを連想させられたのと同時に、偶然なのか少し気になる部分がある。
しらたき星人の一万円札の数字は1なので文字の名前の1文字目は“し”
こんにゃく星人の数字は3なので名前の3文字目は“に”
というように考えていくと、『明日来る者が誰か』という問いに対しての答えっぽいものが一応出てくる。そして無差別通り魔だ。
怖がらなかったことに対する異形の者達のお礼で教えてくれようとしたのか、それともただの偶然なのか。狙われていただけなのか。
確かめる術もなく、考えてもわからないことをこれ以上考えても無意味である。以降、少女は今回の出来事を考えるのはやめた。
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