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第十六話「グローバル?な問い合わせ(博多から)」
ウチの宣伝はホームページのみ。
ご存知の通り、インターネットは世界中で閲覧可能だ。
つまりカッコよく言えば「商圏範囲はグローバル」である。
(カッコわるく言えば「広告費がない」だけなのだが……)
時々、本当にえらく遠い所から問い合わせがある。
そんな人は決まって、商売上手だ!
博多から電話があった。
『個人の法律事務所だがチラシをまいてくれないか』との相談だ。
聞くところによると
「ウチ(便利屋)の近くに貸会議室がある」
「そこで特殊な国家試験の講習会がある」
「その参加者約100人に」
「電話の主が作った試験合格ノウハウ本の」
「宣伝チラシをまいてくれないか」
との内容だ。
(ちなみにその貸会議室までは徒歩10分)
なるほど、博多からここまでチラシをまきに来れば、新幹線往復だけでも3万円はかかる。
それに人件費を加えると、たった100枚ほどのチラシをまくだけでもかなりの金額になる。
だから、たいていの会社は諦める、が、この博多弁は「便利屋」に目をつけたわけだ。
博多弁は更に
「前回、東京の便利屋さんに頼んだらすごく成果が出た」
そうで
「今回から全国展開する事になった」
と続ける。
さて、そのチラシ配布の条件はと言うと
「参加者が講習を終えて帰る時間の30分だけ」
「貸会議室の出口で」
「一人で」
「100枚まくだけ」
で
「早くまき終えたらとっとと帰ってよろしい」
で、料金は
「一般的なアルバイトの5倍ぐらいの値段」
「でどうか?」
と言う。
中身の説明なしでいきなり料金だけ言われたらアヤし過ぎて断る所だが、中身を聞けばなるほど!だ。
もちろん、今回は大将に連絡せずに、すぐに引き受けた。
大将のところのスタッフがダメでも、僕が行けばいい。
(これ位なら僕でも出来る。いや、これ位しか僕は出来ない)
「一カ所であれだけの売り上げですから全国一斉にまけば、うふふ……便利屋さん、さまさまです」、博多弁、そうも言った。
――――――
さて、それから数日後、そのチラシとやらが事務所に送られてきた。
中身を見てぶったまげた。
しょぼいデザインのチラシの真ん中に
「合格必勝ノウハウ本 ○○○○○円!!」
ほぼ十万円に近い高額!
「うふふ……便利屋さん、さまさまです」
あの、博多弁を思い出した。
なるほど……。
かしこい人は、かしこく儲けるわけだ!
となると人間ゲンキンなもので
『それなら、チラシ配布の料金、ちょっと安すぎやない?』
そして
『しぇからしか』(笑)
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