第十八話「グローバル?な問い合わせ(可愛いブちックでお買い物)」

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第十八話「グローバル?な問い合わせ(可愛いブちックでお買い物)」

 大将と便利屋を初めて間もない頃の話。 『ニイガタニイガタ』  フリーダイヤルって、相手の大まかな住所を機械の女性が教えてくれるのだ。  (この↑電話を受けて初めて知った) 『ニイガタニイガタ』  の機械ではなく人間の若そうな電話の主は↓こう語り出した。 「💗いまぁ、そちらのサイト見てるんだけどぉ、おたくのぉ住所の近くにぃ、カァワイイ雑貨屋さん、ブティックがぁあるの。でも、通信販売はやっていないの。ネットでいつも眺めているんだけどぉ、ど~しても欲しくってぇ」 「はいはいそれで?」 「月に何回かだけ、大売り出しィするの💛」 「で?」 「一万円送りますからぁ、買って来て送ってもらえませ~んか~」  さっそく大将に報告。  と、 「そら、新幹線乗って買いに来るより安あがるわな。ほー、インターネットちゅーもんは恐ろしいもんやなあ、ところでワシは行かへんで。どの面(つら)下げておっさんのワシが、可愛いブチックに行かなあかんねん」 「……と言う事は僕が行くんですか。僕もおっさんなんですけど」 「いいや!わしの方がもっとおっさんや!」  普段「おっさん」と言われたら真っ赤な顔して「おっさんちゃうわい」と怒るくせに!  それに『ブチック』じゃないし……。  遠方からのTELは初めてだったので、嬉しさのあまり何も考えずに引き受けてしまった。  そして次の日、買い物代金一万円と諸経費を合わせたお金が、最近作った便利屋の口座に振り込まれていた。  こうなりゃ、行くしかない。  ――――――  そのブチックの前には開店30分前からすでに人だかりが出来ていた。  まるでおもちゃ箱のようなブチック。  前に陣取るのは全員女子。  それも中学、高校ぐらいか!!!  何やらぴーちく喋っているが意味は解らない。  僕は少し離れた公園で中高女子をこっそり眺めている。 (事情を知らない人が見たら、十分アヤシイおっさんだと思うだろう) (いいや、事情を知ってる人が見ても、やっぱりイヤラシイおっさんだと思うだろう) ――――――  遂に開店時間。  中高女子が一斉にカワイイブチックになだれ込んだ。  僕もその後を追ってこっそり入った。  が 『狭い』 『アイテム少ない』  おまけに 『一個単価安い!』(100円位から高くても千円位の小物ばかり)  しかし、送られて来た一万円は使い切らなくてはならない。  えーい、きゃぴきゃぴ中高女子を押しのけ、そこら辺にある小物を取っては、  ……あら、買い物カゴもない。  左手を胸にあてお皿代わりにし、右手でどんどんその辺の小物をひったくっては、入れる。  たまったら、ええい、地べたに置く。  その繰り返し。  店内おしくらまんじゅう状態。  隅に隠した獲物、踏み潰されそう。  中高女子の視線はもちろん痛い。 『なによ、このおっさん?』これがいわゆる「メンチ」か!。  何とか、無事、一万円分(だいたいだが)の小物を買った。  中高女子の目線で僕の服にかなり穴があいた気がした。  そして、宅急便で『ニイガタニイガタ』さん宅へ。  と、次の日『ニイガタニイガタ』さんからお礼の電話が……。 「箱を開けてぇ感激しました。本当にぃ……欲しかったんでっす~~」  おお、これが遠く離れた依頼人でも喜んでもらえる便利屋の仕事。 まさにグローバルなビジネスと、こちらも感激をしていると『ニイガタニイガタ』さん 「次もお願いしたいんですが……」 「ぐぅぇ!!!!」 <それでどうなったかと言うと……>  きゃぴきゃぴ中高女子とおしくらまんじゅうをするのは本当はうれしいですが、生まれて初めて「がんつけられる」って言うんですか「メンチ切られる」って言うんですか、女子に睨まれる怖さ身に沁みました。ので、以降、この仕事は大将の所の女性スタッフにお願いをいたしました。 <さらにどうなったかと言うと……>  しかし、このお買い物は地元常連中高女子のクレームによりやむなく中止となりました。 <と言うのも……>  大将のところの女性スタッフが二度目の買い物に行った際、中高女子が「おっさん禁止」の張り紙を持って門の前にいたからです。(との報告です)  きっとまた僕が来ると思っていたのでしょう。 <行かなくてよかった>  僕はいかなくて助かりましたが、大将のところの女性スタッフも怖くて一万円分買えなかったそうで『ニイガタニイガタ』さんに謝り倒して余ったお金は返却いたしました。
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