ある夏の青春

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 幸い、アオの姿はすぐに見つかった。図書館の建物のすぐ横にいる。端末で、誰かと通話をしているようだった。恐らく姿は映らない部類の通話だろうに。アオは小さく頷くと、何度も頭を下げた。相手は誰なのだろう。  まさか、通話中のアオに話しかけるわけにもいかず、私は居心地悪く、その場に棒立ちしていた。しばらく話して、アオはもう一度頭を下げると通話を終えたようだった。 「アオ」  小さな声で呼びかけると、アオはこちらを見た。その顔は今にも泣き出しそうだった。 「アオ?」 「ハルカ」  アオの声は、震えていた。 「連絡がきた。MOTHERが、処分命令を撤回(てっかい)したらしい」
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