ある夏の青春

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 一般市民である私たちにもたらされた情報は0に近いものだったけれども、要約すると、MOTHERにも想定外の事態が起こったらしい。その具体的な内容は教えられないとのことだったが、結局MOTHERの処分命令は、全ての対象について撤回(てっかい)された。 「なんだったんだろうね?」 「さぁな。まったく、人騒がせな……」  アオはむすっとしていた。死の恐怖から解放されて安心している一方で、無駄に振り回された気がするのだろう。もちろん私も同じである。 「でも、良かった」 「ちょ、泣くなって……!」  私が鼻をすすると、アオが慌てる。  私たちに当たり前の日常が帰って来た。「特別」は確かにドラマチックで感動的だったけれども、やっぱり普通が一番だと痛感した。どの物語の主人公も言うように普通の日常が一番、ってね。
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