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予てからの考えを実行に移す
今の私たちが信じられるモノなんて、私たち自身で紙に書き連ねたくだらない文字列くらいになってしまった――。
そういうどこか陳ねたようなことを心のどこかに焼き付けながら、私はちょっとした逃避行の準備を終えたところだった。
適当に書き殴った置き手紙は、実際のところやっぱりどこか非現実的で、そしてやっぱりとりとめもなかった。
だけれども、それで良い、間違いなど無いと思える。
とっちらかった文章は、少なくとも私の中の感情とこのセカイとを綯い交ぜにした結果であるから、ビリビリに破り捨てることなんてするべきではなく、この混沌としたセカイの片隅に置いてあげるのが相応しいのだ。
一息ついて壁掛けの時計を見れば、もうすぐ最初の約束の時間だった。
夕暮れがトワイライトに染め直されたその後に、このセカイは――。
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