終章

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迷信を含め信心深い保守的な人達が、顔見知りのグループに別れ車座に座っている。祭壇に近付くにつれ、私達に張り付く視線が増えていく。 颯天と私の間には子供が出来なかった。 単に妊娠だけが目的なら、計算した日だけセックスすれば良かったのに、彼は頻繁に私を抱いた。貴幸さんに抱いた気持ちは、恋に恋してただけだった。 夫婦になって見えた、颯天の良さ。 不妊治療や離婚の話も、宮代の家では持ち上がってただろう。けれど颯天は一切私に話さなかった。 無表情な颯天の愛撫に、快楽だけがもたらされた訳でない。私に対する彼の愛情や優しさを、しみじみ感じ始めた矢先の出来事。 立ち上るひとすじの白い烟は、いつまでも私の心の中を漂うだろう。 同じ空に浮かぶ雲の様に、流れ去る事はない。 (了)
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