蝶々になれない

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 わたしは制服のままベッドの上に身を横たえた。すぐに体はどろどろになり、窓の隙間から流れ出していく。青白い蝶々がこちらへ寄ってきた。 「はやく……、ユウリも蝶々になろう……?」 「ツバキ? ツバキなの?」 「そうだよ……」  蝶々になったツバキは微笑みながらわたしの近くを舞っている。 「わたしには殻がないから、蝶々にはなれないよ」 「そんなことない……。殻があるのに、気づいてないだけ……」 「でも見てよ、わたしのどろどろ、どんどん広がってる」  わたしの体はどろどろとどこまでも広がる。いつの間にか海辺にまで来ていた。このまま行けばそのうち、地球全体を覆ってしまうかもしれない。 「おかしいな……、蛹には殻があるはずなのに……」  ツバキが呟く。 「わたし、きっとみんなとは違うの。変なの」 「そう……?」  どこまでも、広がる。もしかしたら宇宙まで、宇宙の端まで。 「じゃあ、それでもいい……、私と一緒にどこまでも行こうよ……」 「そうだね、それもいいかも」  わたしはそう答えて、広がり続けた。ツバキはずっとついてくる。  広がる、広がる、どこまでも。ツバキがそばにいてくれるなら、大丈夫。  一緒に行こう、どこまでも。
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