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 あれから数日が過ぎた。  祐介は弥一だった記憶をすっかりなくしてしまっていた。 「でもよかった、弥一と美千代さんの心残りがなくなって」 「ママはあたしが新人賞に応募するのに反対だったんじゃなかったんだって」 「?」 「あたしの書いた話が気に入らなかったの、全然ときめかないって」 「あ~ママさん小説家目指してたんだっけ」 「そう、だからストーリーの展開には一家言あるらしくて」  あたしの応募作はママからのダメ出しのおかげで、最初よりずいぶんキュンとくる作品に成長していた。 「大賞獲れるといいな」 「祈ってて」  祐介は笑顔で改札を抜けていった。  今週末、サッカーの県大会予選があるので気合が入っているのだ。 「応援に行くね!」 「おー」  祐介はひらひらと背中で手を振る。  あたしは漫画を仕上げるため、家へ向かって歩きだした。  このときめきを、早く原稿用紙に描き留めたかった。
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