災難

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「君たち、何やってんの?」  ジョギング中の中年男性が足を止めた。 「何だよ、お前。関係ねぇだろ」 「子どものお菓子取り上げて何やってんだ。大人がみっともないだろ」  すると気の短い男たちは中年男性に向かって勢いよく拳をあげた。 「いい大人ぶってんじゃねぇよ」 「偉そうに調子こいてんじゃねぇ!」  男らは蹴ったり殴ったりを繰り返し、激しく揉み合いになった。二対一はさすがに()が悪く男に押さえつけられもしたが、中年男性もなかなかにやり返し、相手に一発だけ食らわした。 「やめてーっ、やめてーっ」  甲高い子どもの声は闇夜に遠く響き、通行人らしき足音が近づく。 「おぃ。誰か来るぞ」  足音を察知した二人は『覚えてろよ!』と捨て台詞を吐き、その場を去った。 「だ、だいじょぶ?」  
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