127人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・・・・。相変わらず、騒動に関わる奴だなあ。フランシテル国が血眼になって捜してると俺の耳にまで入ってるぞ。」
それを聞いて、レンホーセンは声を潜めて呟いた。眼が若干見開かれている。
「迷惑かな?」
「いーや、別に俺はどっちの国にも義理はないし、第一顔も知らない人間の事だ。いざとなれば、知らぬ存ぜぬで押し通せば良いだけの事。」
「なるほど。」
「で、何て呼べば良い?」
レンホーセンは今度はサダナーの方を向いて尋ねた。
「我が名はサダ・・・・・・。」
「アホっ。仮の名を聞いてるんだ。本当の名を名乗るんじゃねえ。」
サダナーにみなまで言わせず、苦笑いしながらレンホーセンは遮った。
王子の身が一介の遊牧の民と思っているレンホーセンにいきなりアホ呼ばわりされて、サダナーは些かムッとしたが、確かに相手の言葉も道理である。
「ダーサイナと名乗りおく。」
咄嗟に変名を案出して答え直した。
「ぷっ。じゃあ、ダーサって呼ばせてもらおうか。」
こうして、フランシテル国の王子サダナーはダーサと呼ばれる事に決まった。
最初のコメントを投稿しよう!