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「――私にとってキミの奏でるバイオリンの音色は、いつだって力を与えてくれた。そして、どんな時にも心の支えになっていた。キミのバイオリンを聴くと、不思議と創作意欲が湧いてきて、どんな新しいことにでも挑戦できるような気がしたんだ。妻を亡くして、孤独だった歳月をキミが私の心に、光をもたらしてくれた。そして、僕は今日。キミに勇気を貰ったんだ。だから包み隠さずに話すから聞いてくれるか?」
葉月は彼女の瞳を真剣な眼差しで見つめると、そこで秘めていた思いを打ち明けた。花鳳は小さく頷くと『はい』と答えた。
「私は、いい歳だし。キミよりそんなに若くはない。それに絵しか取り柄が無い男だ。妻にも先立たれて、あとはこのまま、ただ老いていくだけの哀れな脱け殻でしかない。もう恋だとか、愛だとか、そんな感情は二度と無いと思っていた。でも、キミに出会った事で再び誰かを愛する喜びを思い出したんだ――。そう、この胸に秘めたときめきをキミの前では、隠せそうにない。だからどうかこのまま言わせて欲しい。キミを心から愛している。もし、キミが迷惑じゃなかったら私の傍にこれからもずっと一緒に居てくれるか?」
「葉月さん、それって…――」
彼は真剣な眼差しで彼女に自分の想いを打ち明けると近くに居たウエイターを呼んだ。そして、注文していたカクテルを頼んだ。暫くするとウエイターが白い色のカクテルを運んで来た。それを彼女の前に差し出すと、葉月は花鳳にこのカクテルの名前を教えた。
「XYZと呼ばれるカクテルだ。変わった名前だろ? このカクテルの意味は『究極の・もうこれ以上ない』という様々な意味あいがあるが、もう1つ特別な意味があるんだ。それは『永遠にあなたのもの』と言う意味だ。もしキミが、私の気持ちに応えてくれるならどうか結婚して欲しい。そして私の隣でいつまでもキミのバイオリンの音色を聴きかせて欲しいんだ」
そう言って彼は彼女の前で、勇気を出して婚約指輪を贈った。
「葉月さん…――! わっ、わたし……!」
花鳳は彼から究極の愛の告白をされた。彼の純粋で真っ直ぐな一途の想いに彼女は心から感動すると、瞳から一筋の涙を流して頷いて返事をした。
「私もいつまでも貴方の傍にずっと居させて下さい。そして貴方の為に私はバイオリンを弾きたいんです。どんな時でもそれが貴方の心の支えになるなら――」
花鳳は綺麗な涙を流すと、彼のプロポーズを受け入れた。葉月は彼女の薬指に婚約指輪を嵌めると嬉しそうに『ありがとう花鳳、愛してる…――!』と言ってぎゅっと腕の中に抱き寄せた。彼の情熱的な愛情を強く感じると、花鳳は彼の前で目を瞑ると自分からキスをしてきた。そして『私も貴方を愛してます』と愛を囁いた。二人は抱き締めあうと、心と体が1つの愛に結ばれた――。
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