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「愛があれば何でもできるっ!」
何となしに、青空を指差しながら宣言してみた。
僕等は克服したのだ。
あの日からずっと一緒にいる。もう10年だ。
既に籍は入れてある。
そーゆー当たり前の事が嬉しくて、つい気持ちが高ぶってしまったのだ。
だから、思いっきりドヤ顔をして言ってやったのだ。
「カッコイイと思ってるかもしれないけど、普通に気持ち悪いよ?」
「うぐっ⁉ いや別にカッコイイと__」
幸せを感じて、何となしにやらかしてしまった事。
自分でもちゃんと自覚のあることに、普通にダメだしを喰らうのは、けっこーキツかった。
「イケメンがちゃんとしたシチュエーションで言うならいいけど、
フツメンの人……いや少し変な顔の方に寄ってる人が日常生活の中で言うと、だいぶヤバイ感じだよ?」
「いや、あのね……別にカッコつけて、カッコイイと思って言ったわけじゃないよ……。
単純にスゲー舞い上がったっていうかさ」
大空に飛びたたんとした心は、やはり地面にいることにしたようだ。
きっとそれは彼女がここにいるからだろう。
「ふーん、そっかぁーゴメンね邪魔して。酔ったのかな?
まぁ私って魅力的過ぎるもんね、力が発動しちゃってたかな」
「ああ、うん。そうだね。ゴメン調子に乗ってたよね。まぁさ、うん。僕が奥さんにべた惚れってのは間違いないんだけどさ」
反応を返してくれるだけましだと思うことにした。
「後でアイス買ってあげるからさ」
「雑っ! あのね、バカにするならメッチャしていいし、すげー茶化してもいいんだけど、淡々と事実を突きつけられるだけだと、
けっこう人って傷つもんなんだよ?」
「そっか、ヨシヨシ。
夕ご飯の用意と洗い物してくれたら、コンビニでちょっと高めの買ってあげるから」
あれ? アイスはお詫びとかじゃなくて、ご褒美ってこと?
いや別にそんなんなくても全然やるけどね。
家事嫌いじゃないし。
わーい。新作の買って貰おう。
「つーか、それよりも変な顔の方に寄ってるって……。だったらいっその事、ブサイクにカテゴリーしてくれよ。
そしたら面白さを追求出来るだろうし」
「いや、全然不細工とか変な顔とかじゃないよ。
ホントにちょっと寄ってるかなって思うだけでさ。それだってたまにだし」
変なフォローされると、更に肯定されてるだけだよね。
「それに余りに傷ついた時は、強めに『魅了』かけて癒して上げるから大丈夫だよ」
「全然大丈夫じゃねぇーよ。
それじゃ自分の気持ちが消えてるだけじゃねぇーかよ」
「それに余りに辛い思い出だったら私の『ドレイン』で__」
「それは老化とかで、記憶力とかも無くなるってだけだかんな?」
ずっと続く二人の時間が流れていく。
君が必要としてくれるなら、例え無限に吸いとられたとしても、
永遠に湧かせることが出来ると思う。
二人でいる為にさ。
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