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「今日はわざわざ来てくれてありが__」
「前置きは良いわ。早く要件を言って」
公園に置かれている椅子に座っている彼女は、不機嫌さを隠そうともせずに僕に言った。
でも、今更その程度のことで僕の心は折れたりしない。
「そうだね。今、僕は君の時間を貰って__」
僕が尚も前置きを述べようとすると、彼女はキッと僕を睨んだ。
僕を待っていたのは、匂い立つような極上の美女。
そして僕の幼馴染だ。
いくら昔からの知り合いとはいえ、本来なら僕の様な普通顔の凡人が話しかけることすら烏滸がましいのかも知れない。
そんな風に思ってしまうぐらい、彼女は女性として魅力的だ。
「わかったよ。直ぐに言う。だから怒らないで聞いて」
形が良くて厚い唇に、腰との落差がたまらない豊かな胸と、しっかりと上を向く理想的なお尻。
全身から溢れ出るフェロモン。
男なら誰もが一目で魅了され、きっと欲情してしまうだろう。
僕もどうしょうもなく惹かれている男の一人だ。
ただ綺麗とか可愛いなのではない、この上なくセクシーな美女なのだ。
だから腹を括って、覚悟を決めて来た。
「君の事がどうしょうもなく好きだ。だから僕と付き合って欲しい」
一度、息を大きく吸ってから一気に僕の想いを一気に口にした。
最低の告白だ。
雰囲気もシチュエーションもへったくれもあったモノではない。
こんなことでは告白の成功など、全く持って望めないだろう。
一昔前のラブコメならビンタの一つも出るかもしれない。
でも、だからと言って、ここに至ってしまって引けるわけがない。
今更に芋引くなら、それこそ最低で最悪だ。
彼女は僕から視線を外して言う。
「ねぇ、それが__」
「大丈夫。全部ちゃんと分かってるよ。だから返事が欲しい」
今度は僕が彼女の言葉を遮った。
命一杯の笑顔と共に。
理由は単純、彼女にどうでもいい余計な事など考えて欲しくないから。
「なら……一つだけ、聴きたいわ」
「うん、何でも聞いてよ」
彼女は俯いてから、上目遣いで僕を視る。
「私と付き合うってことがどういうことか、ちゃんとわかってるよね?」
「うん。僕は君とずっと一緒にいたい」
「アナタのそれは____」
「その問いに答える必要がある?」
そういった彼女は益々不機嫌になる。
「バカじゃないの」
「うん。そうだね。僕は君が愛してくれるなら……。
いや、傍にいてくれるなら僕は死んでもいい」
僕がそう言うと、彼女はくしゃっと顔を歪めた。
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