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そう、僕が愛してやまないこの人は、あの神話とか伝承でお馴染みのセクシーちゃん。
男の理想の死に方を保障してくれるサキュバス様だ。
ただ彼女は純正のサキュバスじゃない。
恐らくは突然変異か、先祖からの隔世遺伝かによって、家族の中で彼女だけがサキュバスの特性を持ってしまった悲運の人なのだ。
でも、多くの特性を持った人達が雑多に暮らす現在社会では、その能力に対する対処は既にほぼ確立されている。
数多くある能力の中でも、特に強力で実社会で影響が大きいサキュバスの能力の対策などは殊更しっかりとされているし、方法も確立されている。
僕等の暮らす社会では、生まれた時点で能力判定が義務付けられてて、そこで特異な力や特殊な力があった場合、特別な施設や機関にいく事になる。
そこで力の使い方をしっかりと学ぶのだ。
しかし、彼女の悲劇は、純正でない為に、生まれた時点では微弱過ぎて能力検査に引っかからなかったこと。
そして能力が発現し、判明したのが、最悪な事に思春期だったことだ。
当然、後天的に能力や種族特性が出てしまった場合、それまでの生活が一変してしまうことになる。
サキュバスの能力は、『ドレイン』と『魅了』
『ドレイン』は触れるだけで、相手の生命エネルギーを吸い取ってしまう力で、『魅了』は彼女を近くで視てしまった異性は、彼女に対して欲情状態になってしまう力だ。
彼女の場合は高校生の時にその力が発現してしまった。
そして、更に最悪な事に、能力が発現した後も、元が美人だったこともあって、発見が遅れたのだ。
元の素材が良くて、思春期になって体が女性らしくなってくれば、それは魅力が開花しただけだと周りは思う。
そしてそれが明るくて男女問わず人気があって友人も多いような子なら尚更だ。
彼女の能力が初めて明るみに出たのは、初めて付き合った人とデートをした時。
キスをしたその相手を、昏倒させてしまった事でようやく判明したのだった。
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