同盟成立

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 何かありそうだとは思う。  しかし俺と同じように、このゲームの終焉を心から望んでいる貴重な同志。自らここまで出向いてくれた彼を拒絶したくはなかった。 「ありがとう澗宇。本来なら俺から頭を下げて、同盟を願わなければいけないというのに……同盟の申し出、ありがとう。こちらこそよろしくお願いしたい」  改めて俺が右手を差し出すと、澗宇はすぐに顔を綻ばせた。 「はいっ! 最前線では戦えない僕にできることは限られてしまいますが、可能な限り誠人さんの要望にお応えしますので、いつでも連絡してください」 「そう言ってもらえると本当にありがたい。何かあれば俺も澗宇を助けに向かう。必ず君を守ってみせる」 「フフ、ありがとうございます。でもご安心下さい。僕には侶普がいますから、自分の身はしっかりと守れます……万が一の時は頼りにしておりますね」  握手を交わしながら互いに笑い合う。そして――。 「もし兄から理不尽なことを要求されて困った時は、遠慮なく僕の名を出して下さい。いい抑止力になると思いますから」  ……弟に頭が上がらないのか、華候焔……。  誰にも縛られない男だと思っていたが、肉親はまた別らしい。  新たに分かってしまった華候焔の弱みに、俺は顔の緩みを抑えることができなかった。
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