宴の中で

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 殺気とまではいかないが、緊張の糸は切らしていない。  何かあれば瞬時に動き、澗宇を守ろうという気配がありありと漂っている。  同盟を結んだとはいえ、侶普は俺のことをほぼ知らないはず。警戒するのは当然だ。  そして俺の傍に控えている華候焔は酒に口を付けてはいるが、戦の宴の時とは違い静かだ。  少し気になって時折見やると、無言で酒の肴を摘まみながら侶普や澗宇に視線を送っている。  元は一緒に力を合わせていた仲なのだから、関係は悪くないはず。  しかし華候焔からは喜びよりも、どこか思い詰めたような気配を感じてしまう。  一度華候焔に声をかけたほうがいいだろうかと考えていると、澗宇が俺に身を寄せ、小声で囁いた。 「あの、誠人さん……少し兄と話をさせて頂いても良いですか?」 「あ、ああ、もちろん」  俺が頷いて見せると、澗宇はゆっくりと立ち上がって華候焔の元へ向かう。  周囲のざわめきで彼らの声は聞こえないが、人懐っこく微笑みながら話しかけた澗宇につられ、華候焔も笑みを浮かべる。  彼らは現実でもゲーム内でも顔を合わせていなかったのだろうか? 久しぶりの再会を喜んでいるように見えた。  何か事情がありそうだと思っていると、ずっと動かなかった侶普がおもむろに俺の元へやって来た。
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