俺はＶＲ中華風戦闘SLGで、体を褒美に覇者を目指す

いつかのための誓い

　実直で隠すことを嫌いそうな侶普が、声を潜め、密やかに俺に告げた。

「時が来ましたならば、私は必ずや誠人様の力となりましょう。たとえこの命を懸けることになったとしても、必ず……」

　まさか侶普から誓いを立てられるとは思わず、俺は目を見張る。
　おそらく澗宇の一番の忠臣。主の悲願を命を賭して叶えたいのだろう。

　それだけ澗宇は本気で俺にこのゲームの覇者となることを望んでいて、侶普も切実にそう願っているという証。

　できればこちらだけで結果を出したいところだが、現在一番の勢力を誇っている者と対峙するには厳しいだろう。早期の覇者を目指すなら、侶普の力もどこかで必要になるに違いない。

　俺は短く、しかし力強くはっきりと頷いた。

「ありがとう。その時が来たら頼りにさせてもらう」

　侶普が何かを深く思うように目を閉じ、深く息をつく。すると、

「こら侶普っ、浮気するな！　お前には澗宇がいるだろうが。俺からどっちも取ろうとするな！」

　兄弟の再会を喜び合っていたはずの華候焔が、顔を酔いで赤くし、侶普を睨みつけながら這ってくる。

　目が据わっている……かなり酔いが回っている。
　ちょっとやそっとの酒量では酔わないのに、ここまでの状態になるとは。かなり飲んだらしい。

　突然の乱入に侶普のこめかみが苛立たしげにひくついた。