●切実な抱き方

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●切実な抱き方

「……っ……ア……ッ!」  腰の深部が熱く抉られる。  思わずのけ反った俺を、英正は腰を強く掴んだまま快感を容赦なく打ち込み、追い詰めていく。  いつもなら俺を労わりながらゆっくりと体を拓き、快楽の高みへと導くような抱き方をするのに。今日はあまりの激しさに圧倒されてしまう。  ずっと我慢していたことをやめたというより、切羽詰まって俺という糧を腹に収めているような、そんな余裕のない切実な抱き方。  何があったんだ英正?  本当は今すぐ行為を中断させて事情を聞きたい。しかし俺を抱く英正の顔つきがあまりに苦しげで、こうでもしないと生きられないような危うさを感じてしまい、俺は英正の激情に喘ぎなら付き合い続ける。  グッ、と英正に身を乗り出され、最奥を何度も執拗に押されていく。  体の底から込み上げてくる快楽の波から、逃げることも身構えるもできなかった。 「あっ、ぁあっ、英、正……っ……ぁああああッッ!」  内側からバチンッと激しく打ち付けられたように、俺の中が大きく弾ける。  一瞬、視界も頭の中も真っ白になり、英正を咥え込んだ肉壁が激しく脈討つ。 「……ハ……ッ……ぅぅ……っ」  俺の絶頂が英正の昂りを締め上げ、火照った精を放出させる。それを欲しがるように俺の体は脈動を繰り返し、悦んで取り込んでいく。  もう何度か迎えた絶頂と放精。さすがに俺の中で英正の硬度は落ちるが、それでもまだ硬さを残し、俺との繋がりを解こうとはしない。
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