●中断した代償

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 肉体を壊されて頭の奥まで愛でられているような――グッ、と大きく貫かれた瞬間、更なる痺れが俺の全身を走り抜けていく。  思わず頭を振り乱していると、華候焔から喉の奥で笑う声がした。 「誠人、悪いな……ずっと我慢させられたんだ。今晩は付き合ってもらうぞ」  顔を見ずとも欲情を隠さぬ低い声だけで、華候焔が不敵に笑う表情が分かってしまう。  本当は昨日の朝に俺を抱き潰したかったのに、英正が澗宇を連れて帰還したことで中断されてしまったのだ。こうなるのは想定の範囲内だった。 「アッ……は、ぁ……っ……あぁぁぁ……ッッ!」  また絶頂に俺の体が大きく脈打つ。  硬直し、一層深く快楽に沈められ、体が弛緩する。  フラリと揺れた俺の背を、華候焔の大きく熱い手が支えた。 「おっと……まだ俺は達していないぞ? もう限界だなんて言わんよな?」  昂ったままのものを引き抜くと、華候焔はおもむろに俺の体の向きを変え、互いに向き合う形にする。  目の当たりにした華候焔の顔が紅潮している。  俺が欲しくてたまらないとギラついた目と視線が合った途端、俺の胸奥がこそばゆく疼く。  思わずその唇に引き寄せられるように顔を近づければ、待てないと言わんばかりに華候焔は俺の後頭部に手を回し、力強く引き寄せて深々と口付けた。
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