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溢れる自信
◇ ◇ ◇
城の外へ出ると、いつの間にか活気あふれる姿に成長した城下町に俺は目を見張る。
領主としての格がランクアップしたおかげなのだろう。
明らかに澗宇と同盟を結ぶ前よりも華美な建物が造られ、行き交う人の数も多い。
前回といい今回といい、こんなに急激に変わるものなのかと思っていると、白澤が俺の前に浮かびながら、誇らしそうに空を舞った。
「いやーすごいですよ、誠人サマー! 大量の資材と威力のある武器の生成で、ものすごく領土が発展しましたー。総合力の跳ね上がり方がすごいですよー。ちーと入ってますねー」
「当然ですよ、鉄工翁が張り切って例の弓を作っていますからね。伝説級の強武器が、一刻の間にいくつも武器庫へ増えていくような状況ですから」
馬に乗った才明も白澤同様に誇らしげに笑う。心なしか胸を張る姿が、できたことを褒めてくれるのを待つ子供のように見えてくる。
「才明、これから色々と仕込むと言っていたが、どうするつもりなんだ?」
俺が一回り大きな黒馬にまたがって才明に尋ねると、背後でフッという華候焔の笑いが聞こえてきた。
「まさか今から敵の領地に攻め込む、なんて言わんよな? もしそうなら喜んで暴れてやるがな」
……華候焔、なぜ俺と一緒に馬に乗るんだ? 背中が密着して落ち着かないんだが。
非常事態でもないのだから、自分の馬に乗ればいいのでは?
そう伝えたくて背後を見れば、華候焔と視線が合う。
ニヤリと笑うと、華候焔は離れるどころか俺の腹部に腕を回して囁いてきた。
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