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――ガガガッ! 金属すら貫き、木の本体に深々と刺さった音。
才明は懐から単眼鏡を取り出して、街道で倒れているだろう成果を覗き込む。
すぐに小さく頷くと、俺に単眼鏡を差し出した。
「どうぞご覧下さい、誠人様」
促されるまま受け取って単眼鏡を覗けば、そこには鎧を着けられた木製の兵と馬が無残な姿になっていた。
すべての矢が矢尻を通り越して刺さっている。もしこれが本物の騎馬兵ならば即死は免れない。
鎧が意味をなさないとは……。
いくら味方の武器とはいえ、その威力に思わず背筋に悪寒が走ってしまう。
そんな俺とは裏腹に、才明は興奮気味に声を弾ませた。
「思った通りです! この世界で作ろうと思えば銃も作れますが、材料が限られる以上、最新のものは作れませんし、しっかり急所を狙わなければ傷を負わせるだけ……これなら遠距離でも確実に相手を仕留められます」
「容赦がないな、これは」
「領土内に常設するのは防衛の要ですからね。中途半端なものではいけません。主力が本城を留守にしている間に攻められても、返り討ちにできる力――最悪、城下町の非力な領民でも戦力に変えることができます」
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