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葛藤
◇ ◇ ◇
コンパウンドボウの演習を終えて城へ戻ってすぐ、才明から正式に太史翔の所へ攻め込もうと提案された。
この世界で勝ち上がることが目的である以上、戦うことは避けられない。
俺が勝ち続けることを望んでいるから、才明も華候焔も俺の力になってくれている。今さら戦えないと怖気づいて引き下がることはかった。
気づいてしまった可能性に動揺していることを気づかれぬよう、俺は普段通りを心掛けながら伝える。
「……分かった、直ちに準備を進めてくれ」
「ありがとうございます。既に準備を進めていましたから、明日にはここを出立し、進軍することができるかと思います!」
ニヤリ、と才明の口端が不敵に引き上がった。
「私の力を過小評価し、不遇してきたこと……忘れておりませんから。どれだけ人を見る目がなかったかを思い知らせてやろうと望んでいたことか」
「頼もしいですねー! サクサク進軍して目にもの見せちゃいましょうー!」
白澤が才明の隣に並んでくるりと虚空を回る。彼らのやり取りを見る限り、ウマが合っているようで何よりだと思う。
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